クロと旅する 3

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 ・旅3日目ー2

 

 トロ:「ホテル正面の建物は実に可愛いですニャ」
 クロ:「1階は店舗で、その上に暮らしてるみたいだみャ」
 トロ:「“ラビットハウス”と同じですニャ」
 クロ:「そうだみャ♪
     ちなみにココにはホテルの無料駐車スペースがあるから、車で来ても安心だみャ」


 

 トロ:「ホテルの3軒隣には大きいオープンテラスがあるレストランがありますニャ」
 クロ:「どうやら、4ヶ国語(フランス語・英語・ドイツ語・イタリア語)に対応してるみたいだみャ」
 トロ:「それは観光客にはありがたいですニャ」


 

 トロ:「レストランを通り過ぎて、さっき渡った橋まで戻ってきましたニャ」
 クロ:「やっぱ有名な観光スポットだから人が多いみャ〜」


 

 クロ:「でもせっかくだから、橋からの景色をもう一度楽しむみャ」

              

 トロ:「おや、小さい船がやってきますニャ」
 クロ:「あれは“ロシュ川”を遊覧するゴンドラだみャ」
 トロ:「ゴンドラと言えば、クロが前から行きたがってる“ベネチア”を思い浮かべますニャ」
 クロ:「実は“ロシュ川”周辺のこの地区を“プチ・ヴェニス”(リトル・ベニス)っていうんだみャ」
 トロ:「へぇ〜
     でも建物は全然“ベネチア”って感じはしませんけどニャ…」
 クロ:「まぁ 運河や水辺がある町のことを“ベネチア”に例えることは多いからみャ、
     ほら、ロンドンにも“リトル・ベニス”があるって話をカムデンタウンでしただろ」
 トロ:「そういや、そうでしたニャ」
 クロ:「そんな話をしてたら、ゴンドラが橋の下をくぐって行くみャ」
 トロ:「追いかけて橋の反対側へ行きますニャ」


 

 トロ:「あんなところで停泊しましたニャ…」

 

 クロ:「あそこがゴンドラ乗り場なんじゃないかみャ」
 トロ:「じゃあトロたちも行ってみますニャ」


 

 トロ:「さっきのゴンドラ乗り場はこの路地の入口付近でしたニャ」

 

 クロ:「確かそこを左に入ったところだみャ」


 

 トロ:「あっ、ゴンドラの看板がありますニャ」

 

 クロ:「どれどれ…、
     どうやらゴンドラのチケットは看板の奥にあるBARで売ってるみたいだみャ」


 

 トロ:「BARというより レストランって感じですニャ」
 クロ:「とにかく店員に聞いて見るみャ」

 

 トロ:「すでにチケットが売り切れとは、さすが人気の観光地ですニャ…」
 クロ:「観光シーズン真っ只中な上に、ゴンドラにはあまり人が乗れないからみャ…。
     店員から“今のシーズンは看板に書いてある電話番号に電話かけて予約したほうが良い”って言われたみャ」
 トロ:「なるほど、予約が必要だったんですニャ」
 クロ:「まぁ 残念だけど今回はあきらめて、聖地巡礼を続けるみャ」
 トロ:「そうですニャ」


              

 クロ:「実はBARの前の道“ポワッソヌリ通り”を先へ進んだこの路地にも
     オレっちたちのホテルの入口があるんだみャ」
 トロ:「えっ、そうなのニャ?」


 

 クロ:「ここがその入口だみャ」
 トロ:「正面の入口が反対側にあったから、これは裏口ってことですニャ」
 クロ:「そういうことだみャ。
     部屋のカードキーを呼び出しボタンの下のプレートに“かざせば”鍵が外れるみャ」
 トロ:「裏口から自由に出入りできるのは便利ですニャ」


 

 クロ:「そしてこの裏口から出て スグそこにあるのが“プチ・ヴェニス”の中心であり、
     “ごちうさ”の聖地なんだみャ♪」
 トロ:「へぇ〜 目指す聖地はホテルからそんなに近かったんですニャ」
 クロ:「では、この“ポワッソヌリ通り”を真っ直ぐ抜けるみャ」

 

 トロ:「開けたところへ出ましたニャ」
 クロ:「ここが“プチ・ヴェニス”の中心だみャ」


 

 トロ:「右手のお店には人だかりが出来てますニャ」

 

 クロ:「プレッツェル(塩味のパン)やチーズ、サラミなんかを扱ってるってことは食材店みたいだみャ」

              

 トロ:「そして左手にあるも気になる建物がありますニャ」
 クロ:「建物にトリックアートを施したコルマールの有名レストランだみャ」

 

 クロ:「まだ夜の営業時間前で今は片付けてあるケド、
     店の前のテラス席は“ロシュ川”沿いにあって“プチ・ヴェニス”の特等席なんだみャ」
 トロ:「確かにあんなところで景色を眺めながら食事ができたら最高ですニャ〜」


 

 クロ:「この“ロシュ川”沿いの道をモデルにしたと思われる場面が 度々“ごちうさ”に登場してて、
     あの橋に似てる橋もよく出てくるみャ」


 
 

 クロ:「まぁ どれも雰囲気が似てるって程度だけどだみャ」
 トロ:「でもアニメと完全に一致してる聖地があるって言ってなかったニャ?」
 クロ:「それはもう少し後で紹介してやるみャ。
     そう焦らず、周りの店を覗きながらゆっくり巡礼するみャ」
 トロ:「わかったニャ」


 

 トロ:「ここは何のお店ですかニャ?」
 クロ:「“アルザスの自家製ビスケット”って書いてあるみャ」
 トロ:「じゃあ、お菓子屋さんですニャ」
 クロ:「見たところ“プレッツェル”や“パン・デピス”を売ってるようだみャ」
 トロ:「“パン・デピス”?」
 クロ:「香辛料を使ったフランスのお菓子だみャ。
     “パン・デピス”には固いクッキータイプと、やわらかいケーキタイプの2種類あって、
     アルザス地方は蜂蜜入りの甘いクッキータイプの“パン・デピス”が主流だみャ」
 トロ:「それは美味しそうですニャ〜」


 

 トロ:「そのお隣もお店みたいですニャ」

 

 クロ:「これは見ての通りのお土産屋さんだみャ」


 

 トロ:「ちょっとクロ、さっきから10mしか進んでないニャ。
     さすがにこのペースじゃ日が暮れちゃいますニャ」
 クロ:「そうだみャ、じゃあ ちょっとペースを上げるみャ。
     …が しかし、さっき見たこの橋が実は“ごちうさ”に登場した正真正銘の聖地なんだみャ」
 トロ:「えっ そうだったのニャ」
 クロ:「角度が悪いから橋の上へ行くみャ」

 

 トロ:「これは良い眺めですニャ〜♪」
 クロ:「ここから見る街並みがまさに“ごちうさ”で登場した街並みと同じなんだみャ」

 
 

 クロ:「まぁ 正確には建物の色を変えてあったりするケド、
     窓や煙突の位置、それに屋根や建物の形状はピッタリ一致するんだみャ」
 トロ:「へぇ〜 よく見つけましたニャ〜」

 
 

 クロ:「ココからの眺めは観光ガイドとかに写真が掲載されてるから、知ってる人はすぐにピンときただろうみャ。
     ところが ココは“ごちうさ第2期”の本編やエンディングでも登場してるんだみャ」


 
 

 クロ:「“ごちうさ第2期”のエンディングも建物の色を変えてあるケド、
      木組みの位置まで同じにしてあって、第1期に比べて格段に再現率が上がってるみ
ャ」
 トロ:「じゃあ 第2期になってパワーアップしたんですニャ」

 
 

 クロ:「そうだみャ♪
     そして橋の手すりのデザインを見れば分かるとおり、
     “チマメ隊”
(チノ・メグ・マヤ)の3人が踊っているのは この橋の上なんだみャ♪」

 
※ 残念ながら橋の内側の写真は撮っておりませんでした…。

 
 

 

 トロ:「へぇ〜 ここで3人が可愛いダンスを踊ってたんですニャ♪」
 クロ:「“青ブルマさん”を含めた主要キャストがこの橋の上を歩いていたかと思うと、
     わざわざフランスまで巡礼に来た甲斐があったみャ♪」


 

 トロ:「それじゃあ、記念撮影をしますニャ♪」
 クロ:「そうだみャ♪」

 

 クロ:「そして聖地の橋を渡った右手にあるのが“マルシェ・クーヴェール・ド・コルマール”っていう市場だみャ。
     パン屋とか、総菜屋とか、花屋とか、チーズに、ワイン…とにかく たくさんの専門店が中に入ってるみャ」
 トロ:「へぇ〜 じゃあ ショッピングセンターってことですニャ」
 クロ:「そういうことだみャ」


 
 

 クロ:「ちなみにココも聖地のひとつで“ラビットハウス”がある町の“駅”とそっくりなんだみャ」
 トロ:「あぁ “モカお姉ちゃん”を見送った駅のことですニャ。
     よく見ると細かいところは違うけど、確かに雰囲気は似てますニャ」


 

 クロ:「じゃあ、戻ってもう一つ先の橋へ行くみャ」
 トロ:「了解ですニャ


 

 トロ:「一つ先の橋ってアレのことですニャ」


 

 クロ:「あの橋からの光景も人気撮影スポットなんだみャ」
 トロ:「ホントだ、みんな写真を撮ってますニャ」


 

 トロ:「ほぉ〜、確かにキレイですニャ〜」
 クロ:「ちょうどこんな夕暮れの場面が“ごちうさ”でもよく出てくるみャ」

 
 

 トロ:「とっても絵になりますニャ♪」

 
 

 クロ:「そうだみャ〜♪」

 

 クロ:「じゃあ、橋を渡って旧市街地区の中心へ行くみャ」
 トロ:「左に見えてるのは市場の裏側ですニャ」


 

 

 トロ:「なんか凄い装飾のお店がありますニャ」
 クロ:「どうやらレストランみたいだケド、椅子や自転車が壁にくっついてるみャ…」
 トロ:「お店の前に人がたくさんいるから人気のあるお店みたいですニャ」


 

 クロ:「そのお隣はクレープ屋だみャ」
 トロ:「へぇ〜、フランスにもクレープ屋さんがあるんですニャ」
 クロ:「いやいや クレープはフランス発祥の料理だみャ」
 トロ:「そうだったのニャ?」
 クロ:「日本じゃ甘いスイーツってイメージだケド、本場フランスでは甘いクレープを“クレープ・シュクレ”、
     ハムやチーズなどを包んだ惣菜系クレープを“クレープ・サレ”っといって、
     クレープ専門の料理学校があるほど フランスではちゃんとしたひとつの料理なんだみャ」
 トロ:「なるほど、
     それで原宿とかにある屋台やお店と違って、ちゃんとしたレストランみたいな外観なんですニャ」
 クロ:「ちなみにオレっちたちが羽田の“ファーストクラス・ラウンジ”で食べた“ガレット”が
     クレープの元祖と言われる料理だみャ」
 トロ:「そう言われてみたら、似てましたニャ」


 

 クロ:「クレープ屋の隣はパン屋みたいだみャ」
 トロ:「でも もう締ってますニャ…」

 

 クロ:「ここから先はレストランが並んでるみャ」

 

 トロ:「道を挟んだ向かい側もレストランですニャ」
 クロ:「いや“ブラッセリー”って書いてあるから、どちらかというと“ビアホール”とか“居酒屋”だみャ」
 トロ:「お外で飲むお酒は美味しいですよニャ〜」
 クロ:「じゃあその“ブラッセリー”に挟まれた細い道を抜けて行くみャ」

 

 トロ:「なんか広い場所に出ましたニャ」
 クロ:「ここは“アンシエンヌ・デュアンヌ広場”っていう、旧市街の中心に位置する広場だみャ」
 トロ:「確かに人がたくさんいて 賑わってますニャ」


 

 トロ:「おや、小川の中に鳥さんがいますニャ」

 

 クロ:「あれは“コウノトリ”の作り物だみャ…」
 トロ:「何であんなモノが置いてあるのニャ?」
 クロ:「コルマールは“コウノトリ”の有名な生息地で、町のマスコットになっているんだみャ。
     だからお土産屋には“コウノトリ”をあしらったグッズがいっぱい売ってるみャ」
 トロ:「へぇ〜」


 

 トロ:「こっちにはまた変わった屋根の建物がありますニャ」
 クロ:「これは“ル・コイフュース”っていう 昔の“税関”だみャ」
 トロ:「えっ、こんなオシャレな建物が“税関”だったのニャ?」


 

 クロ:「“ル・コイフュース”は中世当時 経済が活発だったコルマールで
     輸出入製品に税金をかける場所として1480年に建てられた“税関”なんだみャ」

 トロ:「マジですか!?
     税関だったのに驚いたけど、これが530年以上も前の建物って事にも驚きましたニャ」
 クロ:「今も講演会や展示会、品評会など様々なイベントが行われる複合施設として使用されてるみャ」
 トロ:「そんな昔の建物が今も現役で使われてるなんて凄いですニャ」
 クロ:「良く見たら“ヴィニョロン・ド・コルマール”って垂れ幕があるから、
     今日は“コルマールの個人醸造家によるワインの品評会”をやってるみたいだみャ」
 トロ:「ただワインを飲んでくつろいでるかと思ったら、違ったんですニャ…」


 

 クロ:「この後、
     この道を真っ直ぐ行くんだケド、まずは広場の周辺を見て回るみャ」
 トロ:「了解ですニャ」


 

 トロ:「ここにも人が立ってる噴水がありますニャ」
 クロ:「立ってるのは“神聖ローマ帝国”(現:オーストリア)の“ラザール・ド・シュヴェンディ男爵”だみャ」
 トロ:「やっぱりあの人も偉い人なのニャ?」
 クロ:「もちろん そうだみャ。
     “シュヴェンディ男爵”はワインが大好きで、
     当時、霧と湿気によって発生するカビ“貴腐菌”に侵された白ブドウで作る“貴腐ワイン”の産地として
     有名だった“ハンガリー”の“トカイ村”から、
     その“ブドウの苗木”をアルザスに持ち込んだといわれてるんだみャ」
 トロ:「へぇ〜
     “シュヴェンディさん”は美味しいワインを広めたかったんですニャ
 クロ:「まぁ そうなんだケド、単に自分が美味しいワインを飲みたかっただけかもしれないみャ」
 トロ:「それってどういう事ですニャ?」
 クロ:「実は当時“ハンガリー”は“オスマン帝国”(現:トルコ)の領土で
     “シュヴェンディ男爵”の神聖ローマ帝国”と戦争をしてたんだみャ」
 トロ:「えっ? じゃあどうやって“ブドウの苗木”を持ってきたのニャ?」

 クロ:「“シュヴェンディ男爵” もその戦争に従軍していて、
     一説によれば 戦いの最中に“ブドウの苗木”を奪取する作戦を指揮したとか、
     一時的に勝利を収めた際の戦利品として“ブドウの苗木” を入手したとか、
     そもそも“トカイ村”じゃなくて“フランスのブルゴーニュから持ってきた苗木”という説もあって、
     実はその入手方法は未だに分かってないんだみャ…」
 トロ:「とにかく苦労をして
“ブドウの苗木”を手に入れたんですニャ」


 

 クロ:「そうだみャ。
     それで1565年に“トカイ村”から持ち帰ったとされる“ブドウの苗木”を
     自分の城があるアルザスの“キエンツハイム”に植えて、
     新しいワインの品種“ピノ・グリ”を開発してアルザスにワイン造りを根付かせたんだみャ」
 トロ:「じゃあ 今“アルザス地方”がワインで有名になったのは“シュヴェンディさん”のおかげなんですニャ」

 クロ:「その通り、
     “ブドウの苗木”を植えた“キエンツハイム”は 現在 アルザスワイン生産の中心地になっていて、
     “シュヴェンディ男爵”の城は“サン・テティエンヌ・ワイン騎士団”っていう団体によって
     現在もワインを生産する“シャトー”として運営されてるみャ」
 トロ:「なるほど、それはとっても偉い人ですニャ」

 クロ:「ちなみにこの噴水も“ローゼルマンの噴水”と同じ
     彫刻家“フレデリク・アウグストゥス・バルトルディ”が製作して1898年に設置されたんだみャ」
 トロ:「ひょっとして あの右手に掲げてるのは“ブドウの苗木”ですかニャ?」
 クロ:「まさに“とったどぉ〜!”って感じだみャ」

 

 トロ:「あっちは何か寂しい雰囲気ですニャ」
 クロ:「アパートが立ち並ぶ住宅街だみャ」

 

 トロ:「こっちは少し賑やかですニャ」
 クロ:「レストランや喫茶店が立ち並んでるみャ」

 

 トロ:「それにしても、お客さんがいっぱいですニャ」
 クロ:「天気が良いから今日は外の方が気持ち良いだろうみャ」

 

 トロ:「手すりにたくさん花が飾ってあって、ここからの眺めもキレイですニャ♪」
 クロ:「この小川が良いアクセントになってるみャ」

 

 トロ:「こっちの眺めも最高ですニャ〜♪」
 クロ:「これは“あやねる”を連れて来て 是非見せてあげたい眺めだみャ♪」
 トロ:「“あやねる”?」
 クロ:「“ココア”の中の人で、寝るのが大好きな声優さんだみャ」
 トロ:「へぇ〜 トロも寝るのは大好きですニャ♪
     でもどうして“あやねるさん”を連れて来たかったのニャ?」
 クロ:「ラジオでよく“ヨーロッパに行きたい”って言ってたからみャ。
     さっきの“ル・コイフュース”で
     “ごちうさ”のイベントとかラジオの公開録音とかやってくれたら参加するんだけどみャ〜


 

 トロ:「ここにもレストランがありますニャ」
 クロ:「その隣はホテルだみャ。
     そしてその道の角を左に曲がると…」


 

 クロ:「ホテルの部屋から見えた“サン・マルタン教会”があるみャ」
 トロ:「結構大きい建物ですニャ」
 クロ:「まぁ“サン・マルタン教会”は後で行くとして、
     ここは曲がらずに“グラン・リュ通り”を真っ直ぐ行くみャ」


 

 トロ:「おや、あそこにトンガリ屋根のついた可愛いらしい建物がありますニャ」
 クロ:「おっ、あの建物に目をつけるとは さすがだみャ。
     実はこの“グラン・リュ通り”は“ごちうさ”の貴重な“ピッタリ聖地”の一つなんだみャ」
 トロ:「そうなのニャ?」


 
 

 クロ:「“ごちうさ第2期”のEDの最後の部分で
     “ちまめ隊”が歩いてる道の右側に建っているのがあの建物だみャ。
     張り出し部分のトンガリ屋根や、それに連なる特徴的な屋根部分を見ると、アニメとピッタリだみャ」
 トロ:「さすがクロ、よく見つけましたニャ」
 クロ:「アニメではさっきホテルの横にあったレストラン辺りから見た“グラン・リュ通り”を描いてたんだケド、
     実際は距離がありすぎて、あんな風には見えないん
だみャ。
     まぁ レンズの“近接効果”を使えば可能かもしれないケド…」
 トロ:「でもコレでまた聖地を一つ巡礼できましたニャ♪」


 

 トロ:「ところであれは一体何の建物なのかニャ?」

 

 クロ:「1階には色んな店舗が、上には色んな会社が入ってるみたいだから、オフィスビルって感じかみャ」
 トロ:「なるほど、それでこんなに大きいんですニャ」


 

 トロ:「向かいの建物の1階はお土産屋さんになってますニャ」

 

 トロ:「クロの言ったとおり、“コウノトリ”をあしらったお土産物がいっぱい売ってますニャ♪」
 クロ:「あんなデカイ“コウノトリ”一体誰が買うんだろ…」

 

 トロ:「振り返って見たこの街並みも絵になりますニャ〜」
 クロ:「ホントだみャ」

 

 クロ:「“グラン・リュ通り”を抜けて右に曲がったところにあるのが“ジャンヌ・ダルク広場”だみャ」
 トロ:「広場というよりは、駐車場ですニャ」
 クロ:「この“ジャンヌ・ダルク広場”の右手にあるのが…」

 

 クロ:「“ラビットハウス”のモデルになったと噂される
     レストラン“au Chasseur”
(オー・シャスール)だみャ〜♪」

 

 トロ:「壁の色が真っ赤だけど、確かに形は“ラビットハウス”にそっくりですニャ」
 クロ:「そう思うだろ」
 
 

 クロ:「店の正面に道がないから、アニメと同じアングルでは見れないんだケド…」

 

 クロ:「ちゃんと角地に建ってるから、側面の様子も確認できるみャ」
 トロ:「ホントですニャ。
     壁の角部分は“ラビットハウス”と同じように、石が使われてますニャ」


 
 

 クロ:「そしてオレっちがこの店を“聖地”だと思う決め手は“1カットだけ”登場した、
     このレストラン“au Chasseur”とそっくりな場所に建つ“ラビットハウス”だみャ」
 トロ:「確かにアニメで見慣れた場所に建ってる“ラビットハウス”と違って、
     このカットの場所はココと似てますニャ!」
 クロ:「まぁ いつもと違うアングルだから、単なる“気のせい”かもしれないケドみャ…」

 

 トロ:「それにしてもこのお店はお客さんがいっぱいいて、人気があるみたいですニャ」
 クロ:「コラ“ラビットハウスは人気がない”みたいな言い方をするんじゃないみャ」

 
 

 トロ:「でも“ラビットハウス”は繁盛してる感じはしませんニャ…」
 クロ:「バカ野郎!
     “ラビットハウス”が繁盛してたら、お話が成立しないだろ」
 トロ:「確かにそうですニャ…」


 

 

 トロ:「それにしても窓辺にお花を植えてるところもアニメと一緒ですニャ♪」
 クロ:「あの窓からチノが顔を出しそうな錯覚を覚えるみャ♪」

 

 トロ:「ところで“ラビットハウス”じゃなくて、実際のお店の名前って何でしたかニャ?」
 クロ:「“au Chasseur”(オー・シャスール)だみャ。
     シャスールは“猟兵”
(歩兵)って意味だケド、動物を狩る“猟師”(ハンター)っていう意味もあるみャ」
 トロ:「じゃあこのお店は“ジビエ料理”のお店ってことですニャ」


         

 クロ:「メニューを見ると、牛・豚・カモの料理が多いみャ。
     牛と豚はともかく、“カモ”は野生のモノを仕入れてる“カモ”しれないみャ…」
 トロ:「なんか夏なのに急に寒くなったのニャ…」


 

 トロ:「あれ!? 聖地の“ラビットハウス”には入らないのニャ?
     ひょっとしてクロのつまらないシャレを冷たく“あしらった”から怒っちゃったのニャ?」
 クロ:「オレっちの心はそんなに狭くないないみャ。
     今“ラビットハウス”に入って食事したら、出てくる頃には外は真っ暗でお土産物屋とか閉まってるだろ
 トロ:「確かにそうですニャ…」

 

 クロ:「だからここはひとまず“アンシエンヌ・デュアンヌ広場”まで戻って、先に買い物を済ますんだみャ」
 トロ:「なるほど!」


 

 トロ:「でも“ラビットハウス”が先に閉まっちゃうってことはないかニャ?」
 クロ:「“ラビットハウス”もとい、“au Chasseur”は22時まで営業してるから大丈夫だみャ」

 

 トロ:「さすがクロ、チェックに余念がありませんニャ」
 クロ:「じゃあ、この辺りの店でお土産を買うみャ」

 

 

 トロ:「いや〜 いっぱい買っちゃいましたニャ」
 クロ:「想定より荷物が多くなったから、一旦ホテルへ置きに行くみャ」

 

 トロ:「まだ19時すぎだから時間に余裕もあるから大丈夫ですニャ」
 クロ:「せっかくだから、違う道を通ってホテルへ戻るみャ」

              

 トロ:「コルマールには可愛い建物がホントにいっぱいありますニャ」


 

 クロ:「ここは来るときに見た“ル・コイフュース”の反対側だみャ。
     マジで“ごちうさ”のイベントをココでやらないかみャ…」
 トロ:「是非エライ人に検討してほしいですニャ…」


 

 クロ:「おっ、この“マルシャン通り”の角地に建っているのは“そっくり聖地”の
     レストラン“Chez Hansi”
(シェ・アンシ)だみャ」
 トロ:「ここは“ぴったり聖地”じゃないんですニャ」
 クロ:「そうだみャ。
     “ごちうさ”第1話の冒頭に、ココアが町へ到着してスーツケースを引いている場面が
     この“マルシャン通り”に似てるんだみャ


 

 クロ:「特に“Chez Hansi”の飛び出し部分はアニメとそっくり
だみャ」

 
 

 トロ:「へぇ〜」

 

 クロ:「せっかくココまで来たから、あそこまで行くみャ」
 トロ:「あそこってどこですニャ?」

 

 クロ:「あのトンガリ屋根がある建物だみャ」

 

 トロ:「これはまた変わった建物ですニャ〜」
 クロ:「1537年に建てられた“プフィスタの家”だみャ」
 トロ:「ニャんと!? 築480年のお家ですか?」
 クロ:「コルマールじゃ築600年以上の建物もあるから、そんなに驚くほどのことじゃないみャ。
     驚くのは当時でも斬新だったこのデザインと、木を多用した建物でありながら、
     長期にわたって保存状態の良さを保ち続けてるってところだみャ」
 トロ:「確かに大きい張り出し部分や、3階の長いバルコニーは斬新ですニャ…」


 

 トロ:「でもそんな昔に、こんな5階建ての大きい家を建てるなんて
     “プフィスタさん”はとってもお金持ちだったんですニャ」
 クロ:「いや、この家を建てたのは“ルードヴィヒ・シェレール”っていう商人だみャ」
 トロ:「えっ? でもさっき“プフィスタの家”って言ってたニャ」
 クロ:「確かに今は“プフィスタの家”って呼ばれてるケド、
     元々はフランス東部の街“ブザンソン”で
     富裕層向けの帽子を専門に扱った商人として成功していた“ルードヴィヒ・シェレール”が、
     ワイン生産の成功で経済の発展が著しいコルマールへ
     更なる商売拡大の為に
移り住むときに建てた豪邸なんだみャ」
 トロ:「じゃあ 何で“プフィスタの家”って呼ばれてるのニャ?」
 クロ:「それは1841年に別の大商人“フランソワ・シャビエル・プフィスタ”が この家を買い取ったからみャ」
 トロ:「こんな豪邸を買い取るなんて、やっぱり“プフィスタさん”はとってもお金持ちだったんですニャ」

 
 

 クロ:「今更ながら言うと、
     このコルマールは“ごちうさ”だけじゃなく、ジブリ作品“ハウルの動く城”の聖地でもあって、
     この
“プフィスタの家”はこの姿のまま作品に登場してるんだみャ」
 トロ:「へぇ〜
     じゃあココは“ハウルの動く城”の“ピッタリ聖地”なんですニャ♪」


 

 

 クロ:「そして“プフィスタの家”の裏にあるのが“サン・マルタン教会”だみャ」
 トロ:「夕陽に照らされてとってもキレイですニャ〜♪」

             

 クロ:「中を見学したいところだケド、よく見たらもう19時30分だみャ。
     とりあえず観光は夕食の後ということで、そろそろホテルへ戻るみャ」
 トロ:「そうですニャ。
     ゆっくり食事を楽しみたいですからニャ」


 

 

 クロ:「…っというわけで“ラビットハウス”へ戻って来たみャ♪」
 トロ:「それでは中へ突入ですニャ〜♪」


 
 

 トロ:「ゴメン下さ〜い」
 クロ:「おぉ〜 中は意外と狭いみャ…」
 トロ:「それに“チノちゃん”や“ティッピー”も居ませんニャ…」
 クロ:「当たり前だみャ。
     もし居たら店内は巡礼者で溢れかえってるみャ」


                  

 クロ:「じゃあ“チノ”の部屋がある2階へ上がってみるみャ」
 トロ:「“チノちゃん”のお部屋…、なんだかドキドキしますニャ♪」


 

 トロ:「なんだ、テーブル席があるだけですニャ…」
 クロ:「だから当たり前だみャ!」


 

 トロ:「そりゃレストランだから当然ですよニャ。
     分かってるけど、つい言ってみたかったのニャ」
 クロ:「そんなのオレっちだって言いたかったのにぃ〜、
     何故いつもとポジションが逆になっちゃったんだみャ〜!」


 

 トロ:「まぁまぁ 落ち着いて…、食前に地元の白ワインでも飲みますニャ♪」
 クロ:「おっ、
     アルザスの“ピノ・グリ”を アルザス伝統の“アルザスグラス”で頂けるとは気が利くみャ〜♪」

 
※ 本来ならボトルで注文したかったのですが、夜の散策のためにグラスにしました…。
    ちなみに銘柄は“FRANCOIS SCHMITT Bollenberg PINO GRIS 2010”でした。
   “フランソワ シュミット”は生産数が少ないらしく、日本で購入することはできないそうです。


 

 クロ:「そして今日の夕食はアルザスの郷土料理“シュークルート”だみャ〜♪」
 トロ:「これはボリューム満点ですニャ〜♪」
 クロ:「乳酸発酵させた“すっぱいキャベツ”に、ソーセージや豚のスネ肉、そしてジャガイモを乗せた料理だみャ」

 

 トロ:「では、いただきま〜す♪」
 クロ:「では、いただきま〜す♪」
 トロ:「キャベツの酸味とワインがとっても合いますニャ〜」
 クロ:「さすがドイツが近いだけあって、ソーセージも絶品だみャ〜」

 

 トロ:「アっという間に完食ですニャ」
 クロ:「お次はデザートだみャ♪」

 

 クロ:「これが本場フランスの“クレームブリュレ”だみャ♪」
 トロ:「上にバニラアイスが乗っかってますニャ〜♪」


 

 クロ:「そして“ラビットハウス”の聖地ということで外せない“コーヒー”だみャ〜♪」
 トロ:「この一杯を飲むために日本から来たと言っても過言ではないですよニャ」
 クロ:「まぁ そこまでは言わないケド、じっくり味あわせてもわうみャ…」


 

 トロ:「ごちそうさまでした〜」
 クロ:「ごちそうさまでした〜」

 

 クロ:「ラディスィオン スィルヴプレ(お勘定をお願いします)だみャ」
 トロ:「セテ デリスィウー(とても美味しかったです)ニャ」
 クロ:「オ ルヴォワール(さようなら)だみャ」
 トロ:「ボン ニュイ(おやすみなさい)ですニャ


 

 トロ:「思わずフランス語が出てしまうくらい大満足でしたニャ〜♪」
 クロ:「全くもってその通りだみャ。
     1階の席じゃなくて、2階の“チノ”の部屋で食事ができたのも良かったみャ♪」

 トロ:「そうですニャ〜
     トロは3階の“ココアちゃん”のお部屋にも行きたかったですニャ」

 クロ:「いや、それはダメだろ…」
 トロ:「それじゃ、そろそろ行きますかニャ」
 クロ:「そうだみャ」

               

 クロ:「“ラビットハウス”また来るみャ〜」
 トロ:「その時はトロもついて来ますニャ〜」


 

 トロ:「ところで お外は真っ暗になっちゃったけど、これからどうするのニャ?」

 

 クロ:「そりゃ 夜のコルマールを散歩するに決まってるみャ」

 

 トロ:「クロは“夜の散歩”のことを“宿泊者の特権”って言いますからニャ」

 

 クロ:「せっかく旅先にいるんだから、すぐにホテルへ戻ったら勿体無いだろ」

 

 トロ:「なかなか来られない外国だったら、確かに勿体無いですニャ…」

 

 クロ:「やっぱりそう思うだろ」


 

 トロ:「それにしても外国の街並みって、どうしてこんなに絵になるんですかニャ」
 クロ:「ホントにどこを切り取ってもポストカードになりそうだみャ」

 

 トロ:「あっ、“ラビットハウス”へ行く前に来た大きい教会ですニャ」
 クロ:「ただブラブラと徘徊してたわけじゃなくて、ちゃんとこの“サン・マルタン教会”を目指してたんだみャ」


 

 トロ:「夕陽に照らされてたのもキレイだったけど、ライトアップされてる教会も実にキレイですニャ〜」
 クロ:「明るい空と違って真っ暗な空だからこそ、緻密な装飾が際立って見えてるんだみャ」
 トロ:「なるほど…」


                   

 クロ:「この“サン・マルタン教会”は1234年〜1365年の131年に渡って建設されたカトリック教会で、
     アルザス地方を代表するゴシック建築のひとつと言われてる
みャ」
 トロ:「へぇ〜 そんなに長い間作ってたんですニャ」
 クロ:「当時は重機とかなくて全て手作業だったからみャ、
     大聖堂ともなると200年以上かけて建設されたモノもあるみャ」
 トロ:「それは大変ですニャ…」


 

 クロ:「教会の壁がモザイクみたいに色が違うのは、
     
アルザス平原に連なる“ヴォージュ山脈”から切り出した“赤色砂岩”(新 赤色砂岩)を積み上げて
     作ったからなんだみャ」
 トロ:「でもあの微妙な色の違いが良いアクセントになってますニャ」
 クロ:「ちなみに“ストラスブール”にはもっと大きな“ストラスブール大聖堂”があって、
     その建築材料も同じ“ヴォージュ山脈”から切り出した“赤色砂岩”
を使ってるから、
     教会全体が赤褐色(せきかっしょく)になってるみャ」
 トロ:「へぇ〜」


 

 クロ:「そう言えば“サン・マルタン教会”の屋根の上には“コウノトリ”の巣があったみャ…」
 トロ:「えっ、ホント? どこどこ?」
 クロ:「向かって一番右側の屋根の上だみャ」
 トロ:「あのモッコリというか、丸っこいヤツですニャ」
 クロ:「そうだみャ。
     でもさすがにこの時間はもう寝てるだろうみャ」
 トロ:「教会の屋根に住んでるなんて、なんだか幸せになれそうですニャ♪」


 

 クロ:「じゃあ、“夜の散歩”を再開するみャ」

 

 トロ:「やっぱり夜は街の雰囲気が一変しますニャ」

 

 クロ:「そこが楽しいところなんだみャ」


 

 トロ:「おっ、明るいショーウィンドウがありますニャ」

 

 クロ:「見たところお菓子屋かみャ」


 

 トロ:「でも他にもいろいろ売ってるみたいですニャ」

 

 クロ:「どうやらお土産屋みたいだみャ」


 

 トロ:「うわっ! このショーウィンドウには白い人形がいっぱいこっちを見てますニャ…」
 クロ:「これは“雪だるま”を模した“スノーマン”じゃないかみャ」
 トロ:「でも今は真夏ですニャ」
 クロ:「確かにそうだみャ…、ひょっとして年間通しての売れ筋商品なのかもしれないみャ」
 トロ:「そうかニャ〜」


 

 クロ:「向こうにも明るいショーウィンドウがあるみャ」

 

 トロ:「こっちは本屋さんですニャ」

 

 クロ:「なんか絵本や歴史書とかジャンルがバラバラに並べられてるみたいだケド、
     よく見たら全部アルザスに関する本だみャ」
 トロ:「えっ、でも“自由の女神”が表紙になったニューヨークっぽい本がありますニャ」
 クロ:「おいおい、“自由の女神”の像を作ったのは“フレデリク・アウグストゥス・バルトルディ”だみャ」
 トロ:「それって誰でしたかニャ?」
 クロ:「今日、2つの噴水について説明してやっただろ。
     あの“2つの噴水の像”と“自由の女神の像”を作ったのは
     コルマール出身の彫刻家“アウグストゥス・バルトルディ”だみャ」
 トロ:「なんと!?そうなんですニャ?」
 クロ:「だからアノ本はニューヨークの本じゃなくて、アウグストゥス・バルトルディ”について書かれた本なんだみャ」
 トロ:「なるほど、それで全部アルザスに関する本って言ったんですニャ
 クロ:「そうだみャ」


                

 トロ:「本屋の向かいにあるのが、夕方に来た“大金持ちの大豪邸”ですニャ」
 クロ:「“プフィスタの家”だみャ」


                

 トロ:「お家の下に看板がありますニャ」
 クロ:「フランス語・英語・ドイツ語の順に同じ内容が書かれてるケド、
     夕方にオレっちが説明したのと同じ内容だみャ」


 

 トロ:「夕方来た時は気付かなかったけど、壁に絵がかいてありますニャ」
 クロ:「それじゃあアノ看板にも書いてないことを説明してやるみャ。
     看板には“シェレール”とプフィスタ”の名前しか書いてないケド、
     実はこの家、何人もの大商人が買い取って、持ち主が次々と変わってるんだみャ

 トロ:「へぇ〜
     でもよく考えたらお家が完成した1537年からプフィスタさん”が買い取る1841年まで
     約300年もあるから、お家の持ち主がたった二人なんて少なすぎますニャ」
    
(注:説明の都合上、トロはちゃんと覚えています)

 クロ:「そう思うだろ。
     実は家が完成した1537年の30年後の1567年に“クラウス・シュタットマン”っていう織物商人が
     この家を買い取ってるんだみャ」
 トロ:「えっ? たった30年で持ち主が変わっちゃったのニャ?」
 クロ:「そうだみャ。
     家の壁一面に描かれたフレスコ画は“シュタットマン”が外壁の装飾を行ったときに描かせたもので、
     “16世紀のゲルマン
(ドイツ)皇帝”や“キリスト教の伝道者”“教父”“福音史家”“寓話”など、
     他にも“聖書に書かれてる情景”がたくさん描かれてるんだみャ」
 トロ:「そんなにいろんな題材を描いてたんですニャ…」


 

 クロ:「そしてシュタットマン”が家を買い取ってから29年後の1596年には
     また別の商人がこの家を買い取ってるみャ」
 トロ:「マジですか?
     30年周期で300年ってことは10人くらい持ち主が変わってるってことなのニャ?」
 クロ:「こんな大豪邸を買い取れる大商人なんて、みんないい歳の中年オヤジに決まってるから、
     買い取ってからちょうど30年後には、大体みんな死んじゃうって事だろうみャ」
 トロ:「なるほど…、
     失礼かもしれないけど、なんか納得できましたニャ…」


 

 クロ:「じゃあこのまま“マルシャン通り”を下って、“アンシエンヌ・デュアンヌ広場”まで行くみャ」
 トロ:「あの賑やかだった広場ですニャ」


 

 クロ:「さすがに通りの人影は“まばら”だみャ」
 トロ:「もうすぐ23時ですからニャ」


 

 トロ:「夕方の喧騒がウソみたいに静まり返ってますニャ…」
 クロ:「点いているのはレストランやBARの灯りだけだみャ」

 

 トロ:「おや、あそこにいっぱい人が座ってますニャ」
 クロ:「ひょっとして今日やってた“ヴィニョロン・ド・コルマール”の反省会でもやってるのかみャ…」


 

 トロ:「あっちには面白い看板がありますニャ♪」

 

 トロ:「“うさぎさん”が電球を持ってますニャ」
 クロ:「確かココってイタリア料理のレストランだったみャ。
     “ラビットハウス”じゃあるまいし、なんでこんな看板なんだろう…」
 トロ:「さすがのクロも知りませんでしたか…」


 

 トロ:「お隣のホテルの看板も変わってますニャ」
 クロ:「“サン・マルタン教会”が近いから看板に使ってるんだろみャ。
     馬に乗ってるのは“トゥールのマルティヌス司教”かみャ」
 トロ:「名前の響きからすると、とってもエライ人みたいですニャ」
 クロ:「“キリスト教の聖人”で、生きたまま聖人の地位を与えられる“列聖”が行われた初の“人間”だみャ」
 トロ:「列聖? 人間? トロには難しくてよく分からないニャ…」
 クロ:「その昔、キリスト教で“聖人”と認められたのは、
     “殉教”すなわち信仰の為に命を落とした信者に対してだけだったんだみャ」
 トロ:「なんか“二階級特進”って感じですニャ」
 クロ:「まさにその通りだみャ。
     そんなキリスト教の世界で“列聖”というのは、信仰の模範になるような“徳”(神への信仰や愛・希望)
     “聖性”
(神聖な精神)を極めた信者に対して“聖人”の地位を認める制度なんだみャ」
 トロ:「審査する基準がいまいち分からないけど、ものスゴイ難関ですニャ…」
 クロ:「ところが“トゥールのマルティヌス司教”がその難関をはじめて突破して“聖人”になったんだみャ」
 トロ:「なるほど、生きたまま“聖人”になったから“初めての人間”なんですニャ♪
     やっと理解できましたニャ」


 

 トロ:「おや、キリスト教の話をしてたら 何かそれっぽいモノを売ってるお店がありますニャ」
 クロ:「どうやら骨董屋みたいだみャ」


 

 トロ:「よく見たら“ランプ”や“時計”に“マネキンの頭”まで売ってますニャ」
 クロ:「もう閉店してるケド、開いてたらちょっと覗いてみたかったみャ…」


 

 クロ:「ココまで戻ってきたから行ってみるみャ」


 

 トロ:「えっ、こんな時間から一体どこへ行くのニャ?」

 

 クロ:「ココだみャ」
 トロ:「なんだ“ラビットハウス”に戻ってきたんですニャ」


               

 トロ:「さすがに閉店して真っ暗ですニャ」

 
 

 クロ:「でも人がいないから じっくり巡礼できるみャ♪」

 
 

 トロ:「確かにそうですニャ」

 
 

 クロ:「じゃあ、十分堪能したところでホテルへ帰るとするみャ」

 
 

 トロ:「それにしても、長い“夜の散歩”でしたニャ」


 

 

 トロ:「やっと“プチ・ヴェニス”まで戻って来ましたニャ」
 クロ:「やっとって言っても、せいぜい5〜6分しか経ってないみャ」


 

 トロ:「そうでしたニャ」

 

 クロ:「しかし夜の“プチ・ヴェニス”は幻想的だみャ〜」
 トロ:「街灯が良い感じに建物や水面を照らしてるからですニャ」


 

 クロ:「あのトリックアートのレストランはまだ店内の灯りが点いてるみャ」
 トロ:「お掃除中ですかニャ?」


 

 クロ:「夜の“プチ・ヴェニス”やっぱ良いみャ…」


 

 トロ:「やっとホテルへ戻ってきましたニャ」

 

 クロ:「しかし裏口は23時で閉まっちゃうから、正面の入口へ回るみャ」
 トロ:「なんと、そうだったんですニャ」


 

 クロ:「正面の入口は24時間あいてるから閉め出される心配はないみャ」


 

 トロ:「それを聞いて安心しましたニャ」

 

 トロ:「あれ?なんか行き過ぎてないですかニャ?」
 クロ:「いや、最後に橋から夜の“ロシュ川”を見ようと思ってみャ」
 トロ:「“白鳥さん”が泳いでて、なんか癒されますニャ〜」
 クロ:「そうだみャ」


 

 クロ:「んじゃ、今度はマジでホテルへ帰るみャ」
 トロ:「さすがに歩き疲れましたニャ」


 

 クロ:「はぁ〜 このままベットに倒れこみたいところだケド…」

 

 クロ:「忘れないうちに明日の予習をやっとくみャ」
 トロ:「夜の恒例行事ですニャ」


 

 トロ:「あれ?
     何だかこの近所じゃないような雰囲気ですニャ…」
 クロ:「明日は“コルマール”を後にして“パリ”へ移動するみャ」
 トロ:「へぇ〜 ここはパリなんですニャ?」
 クロ:「そうだみャ。
     詳しくはコレを食べながら教えてやるみャ」


 

 トロ:「またコレなのかニャ…。
     もう3日も同じで飽きちゃったのニャ…」


 

 クロ:「ちゃんとよく見るみャ。 今日は同じじゃないみャ」


 

 クロ:「ほら、昨日までは“イチゴ味”で、今日は“ココア味”だろ。
     “ごちうさ”の聖地で食べようと思って、ちゃんと“ココア味”を持ってきたんだみャ」


 

 トロ:「なんともクロらしい、凄いこだわりですニャ…」

 

 クロ:「じゃあ予習も済んだところで、
     ライトアップされた“サン・マルタン教会”を眺めながらシャワーでも浴びるみャ」
 トロ:「ところで明日は何時に起きるのニャ?」
 クロ:「8時すぎってところかみャ…」

 


 
4日目へ…


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