クロと旅する 3
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・旅4日目ー2 |
クロ:「それじゃあ、駅の方へ向かうみャ」 トロ:「目的の聖地へは地下鉄に乗って行くのニャ?」 クロ:「いや、ココから徒歩5分のところだみャ」 トロ:「それは近いですニャ」 クロ:「おや、何か演奏が聞こえるみャ」 トロ:「人も大勢集まってますニャ」 クロ:「クラシックの“路上ライブ”をやってるみャ♪」 トロ:「ホントですニャ♪ せっかくだからちょっと聞いていくニャ〜」 クロ:「それじゃ“鑑賞料代わりに”売ってるCDを購入するみャ」 トロ:「12人も演奏するなんて、おフランスの路上ライブは豪華ですニャ〜♪」 クロ:「さっき通った時は いなかったから、ラッキーだったみャ」 トロ:「いや〜 良い演奏でしたニャ♪」 クロ:「歴史ある“ルーブル美術館”を見ながらクラシックを聴いてると、 NHKの“名曲アルバム”みたいだったみャ♪」 トロ:「それを生で体感できたんだから、貴重な経験をしましたニャ」 トロ:「なんと今度は“花嫁さん”が歩いてますニャ」 クロ:「理由はわからないケド、これまた貴重な場面に遭遇したみャ」 トロ:「“花嫁さん”のお隣は“新郎さん”ですかニャ」 クロ:「とにかく お二人とも、お幸せに〜♪」 クロ:「さぁ ココが“異国迷路のクロワーゼ”の聖地“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”だみャ」 トロ:「外観はアニメとあまり似てませんニャ」 クロ:「アニメの舞台“ギャルリ・ド・ロア”は、 いくつもの“パサージュ”を参考にして作られた架空の“パサージュ”なんだみャ」 トロ:「“パサージュ”?」 クロ:「フランスでは こんな“アーケード商店街”のことを“パサージュ”って言うんだみャ。 “ギャルリ・ヴェロ・ドダ”がアニメの聖地たる由縁は内部にあるみャ」 トロ:「なるほど、そういうことですニャ」 クロ:「この“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”は、 近所で“シャルキュトリー”と言われる“ハムやソーセージ等の加工肉の販売店”を営んでいた “ブノア・ヴェロ”と“ドダ”の二人が作った“パサージュ”なんだみャ」 トロ:「えっ!? そんな“お肉屋さん”みたいな人たちがこんな豪華な“アーケード商店街”を作ったのニャ?」 クロ:「なぜ一介の“シャルキュトリー”の店主がこんな豪華な“パサージュ”を作れたかというと、 19世紀の当時、フランス革命後に“革命政府”が発行した“アッシニャ”っていう“国債”を 大量に購入する“投機”に成功して、大金持ちになったからなんだみャ」 トロ:「“アッシニャ”?“国債”? なんか難しい言葉がたくさん出てきたニャ…」 クロ:「“アッシニャ”は“国債”のことで、“国債”は国が発行する“債券”のことだみャ。 “国債”を買った人には国から“利子”が支払われるから、国が販売する“金融商品”みたいなものみャ」 トロ:「なるほど、なんとなく分かったニャ」 クロ:「フランス革命後の混乱時に“反革命軍”と戦うためにお金が必要だった“革命政府”は、 フランスの“国有地”を担保にして“アッシニャ”を発行したんだみャ」 トロ:「じゃあ、“お肉屋さん”の二人はそれを買ったんですニャ」 クロ:「いや、この時点ではまだ買ってないみャ」 トロ:「なんだ、そうなのニャ」 クロ:「こうして“アッシニャ”を発行した“革命政府”なんだケド、 “反革命軍”との戦闘が予想以上に長引いて財政が悪化、 戦闘を続ける為に“アッシニャ”購入者へ支払うべき“利子”を一方的に撤廃した上、 フランス革命の混乱で他国へ亡命していった“貴族たちが所有する土地”や“教会の土地”を国有化して、 それを担保に また大量の“アッシニャ”を発行したんだみャ」 トロ:「すると どうなるのニャ?」 クロ:「大量に“アッシニャ”を発行したことで“アッシニャ”の価値が大暴落して“紙屑同然”になったんだみャ」 トロ:「それは大変ですニャ! じゃあ“アッシニャ”を買った人は大損しちゃったってことですニャ」 クロ:「そうだみャ」 クロ:「ところが“国有地”を“担保”として発行された“アッシニャ”は“国有地と交換”できたから、 それに目を付けた“ヴェロ”と“ドダ”は、 紙屑同然になっていた“アッシニャ”をタダ同然で大量に購入して、 国有化されていた一等地にある“亡命貴族たちの土地”をたくさん手に入れることができたというわけみャ」 トロ:「それは“目のつけどころ”が鋭いですニャ〜」 クロ:「こうして大地主になった“ヴェロ”と“ドダ”は土地の運用で財を成して、 “ギャルリ・ヴェロ・ドダ”を作ったんだみャ」 トロ:「何ともすごい“サクセスストーリー”ですニャ〜」 トロ:「それにしても商店街にしてはとっても豪華な作りですニャ」 クロ:「そりゃライバルの“パサージュ”がたくさんあったからみャ。 最盛期には100以上の“パサージュ”があったから、いかに客に来てもらうかが勝負だったんだみャ」 トロ:「そんなにあったのニャ?」 クロ:「“大道芸人”を呼んだり、“蝋人形館”を作ったり、当時人気のあったブランドのテナントを誘致したり、 様々なアイデアで客取り合戦をやってたんだみャ」 トロ:「なんか現代とあまり変わらないですニャ」 クロ:「そんな客取り合戦が行われている“パサージュ戦争”に参戦した“ヴェロ”と“ドダ”は、 膨大な資金を投入して、 美術館のような豪華なパサージュこの“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”を作ったんだみャ」 トロ:「なるほど、美術館みたいだから“ギャルリ”っていうんですニャ」 クロ:「店舗のファサードや天井には当時高価だった透明ガラスを贅沢に使い、柱や壁には高級な大理石を使用、 そして豪華な装飾で彩られた天井画で飾られた“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”は1826年に完成したみャ」 トロ:「じゃあ今から約190年も前に出来たってことですニャ」 クロ:「そうだみャ。 現在残ってる“パサージュ”の数は20くらいだケド、どこも改装や改築を行っている中、 この“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”は19世紀の当時から ほとんど手つかずの状態で保存されている貴重な“パサージュ”なんだみャ」 トロ:「それは凄いですニャ。 じゃあココにあるほとんどの物が190年前からあるんですニャ」 クロ:「まぁ 照明は当時“ガス灯”だったのが、今は“電灯”に変わったりしてるケドみャ」 クロ:「そして“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”がアニメの聖地と言われている理由はこの床のタイルの模様だみャ」 トロ:「確かにアニメと一緒ですニャ」 クロ:「もちろん、この床は19世紀当時のままだみャ」 トロ:「なんかロマンを感じますニャ〜」 トロ:「ところで開いているお店が全然なかったけど、今日はみんな定休日だったのニャ?」 クロ:「いや、8月のバカンスシーズンはみんな休業して遊びに行ってるんだみャ」 トロ:「マジですか!? 日本じゃとても考えられませんニャ…」 クロ:「オレっちは日本もフランスを見習ってほしいケドみャ…。 とにかく次の聖地へ行くみャ」 トロ:「了解ですニャ」 クロ:「さぁ着いたみャ。 ココが次の聖地“ギャルリ・コルベール”だみャ」 トロ:「あれ? カギが掛かってますニャ」 クロ:「そうだみャ」 トロ:「みんな夏休みでバカンスに行っちゃったから、閉鎖してるんですかニャ…」 クロ:「そうかもみャ…」 クロ:「な〜んて、実はココが入口じゃないんだみャ」 トロ:「えっ?」 クロ:「本当の入口はココから歩いて40秒くらいの場所にあるみャ」 クロ:「さぁ ココが“ギャルリ・コルベール”の現在の入口だみャ」 トロ:「確かに人が出入りしてますニャ、では早速 トロたちも中へ…」 クロ:「ちょっと待った。 実は“ギャルリ・コルベール”は中へ入る前に“荷物検査”があるんだみャ」 トロ:「へぇ〜 なんか空港みたいですニャ。ひょっとして万引き防止の為ですかニャ?」 クロ:「まぁ 理由は中に入ってから説明してやるみャ」 トロ:「無事に通れたけど、なんか暗いですニャ」 クロ:「しかしこの通路を抜けると…」 トロ:「うわぁ〜 とっても明るいですニャ〜」 クロ:「これは広くて開放感があるみャ〜」 トロ:「それにアノ大きいガラスの天井はとってもキレイですニャ〜」 クロ:「アレこそアニメに登場したガラスのドームだみャ」 トロ:「細かいところは違うけど、確かに雰囲気は似てますニャ」 クロ:「この“ギャルリ・コルベール” は、 さっき行った“ギャルリ・ヴェロ・ドダ”と同じ1826年に完成した“パサージュ”で、 近所で既に繁盛していた“ギャルリ・ヴィヴィエンヌ”が 華やかな装飾が評判で“パリで最も美しいパサージュ”と称賛されていたから、 それに対抗して 大きなガラスドームを備えた豪華な円形広場“ロトンド”を作ったんだみャ」 トロ:「ココもそうやって集客しようとしたんですニャ」 クロ:「実際、この“ロトンド”はパリで評判になって、 “ロトンド”周辺のテナントには高級ブティックがたくさん入って、広場の周りを取り囲んだらしいみャ」 トロ:「じゃあ 集客作戦は成功したんですニャ♪」 クロ:「いや、実はそれが一時的なモノで終わってしまって、 ライバルの“ギャルリ・ヴィヴィエンヌ”から客を奪いきることは出来なかったんだみャ」 トロ:「あら、そうなのニャ」 クロ:「客は“ギャルリ・ヴィヴィエンヌ”に奪い返され、 それ以降、この“ギャルリ・コルベール”は衰退していったんだみャ…」 トロ:「商売の世界は厳しいですニャ…」 クロ:「“ギャルリ・コルベール”を作った“アダム商会”は再び客を呼び込もうと、 色々手段を講じたんだケド全て失敗して、とても営業が維持できない状況にまで追い込まれたんだみャ」 トロ:「それでどうなったのニャ?」 クロ:「豪華で美しいと評判だったこの“ロトンド”は、倉庫として使われるようになり、 華やかな装飾は痛み放題で廃墟のようになったらしいみャ」 トロ:「でも今 こうしてキレイになってるのは、どういう事ですニャ?」 クロ:「結局“ギャルリ・コルベール”の再建を諦めた“アダム商会”は、 1859年に“ギャルリ・コルベール”を国立学術団体“フランス学士院”へ寄贈したんだみャ。 その後の1974年、 “ギャルリ・コルベール”に隣接する“国立図書館”が“ギャルリ・コルベール”の土地を買い上げて、 “ギャルリ・コルベール”を解体して“国立図書館の分館”を建設しようとしたんだみャ」 トロ:「なんと、お隣さんが手を差し伸べてくれたと思ったら、トドメを刺そうとしたわけですニャ…」 クロ:「しかし、すでに廃墟と化していた“ギャルリ・コルベール”に “歴史的価値がある”と フランスの建築家“ルイ・ブランシェ”が進言したことから、 計画を変更して“歴史的建造物”として建設当時の姿へ復元することになったんだみャ」 トロ:「じゃあ今こうして復元された“ギャルリ・コルベール”が見られるのは、その建築家さんのおかげですニャ」 クロ:「そうだみャ。 復元作業の指揮は“ルイ・ブランシェ”が自ら行ったからな。 当時の資料を参考にしての復元作業はとてつもなく時間を要して、 作業開始から完了まで なんと約10年も掛かったんだみャ」 トロ:「10年ですと!? 」 クロ:「1985年に復元作業が完了すると、 “ギャルリ・コルベール”は当初“国立図書館”が建設しようとしていた“国立図書館分館”として使用され 現在に至っているというわけだみャ」 トロ:「いや〜 復元作業に10年もかかるなんて、作業に携わった人たちはホントに大変だったですニャ」 クロ:「今こうしてキレイな“ロトンド”を鑑賞できるんだから、感謝の言葉しかない出てこないみャ」 トロ:「ところでこの真ん中にいる人は誰ですニャ?」 クロ:「これは歴史上の人物とかじゃなく、ローマ神話の“愛”と“美”を司る女神“ヴィーナス”の像だみャ」 クロ:「実は“ギャルリ・コルベール”が完成した1826年当時は、 この“ロトンド”の中心に“ココナッツの木”の形をした大きなブロンズ製の“ガス灯”があったんだみャ」 トロ:「あれ? それってひょっとして…」 クロ:「そう、アニメで描かれてる“ガス灯”のことだみャ」 トロ:「にゃんと!? アニメでは当時の“ギャルリ・コルベール”が再現されてたということですニャ」 クロ:「その通り!」 クロ:「でも現実の方は“ココナッツのガス灯”は復元できなくて、 代わりにこの“ヴィーナス像”が1822年に設置されたというわけだみャ」 トロ:「“ココナッツのガス灯”とヴィーナス像”って、なんか差が激しいですニャ…」 クロ:「それはこの“ロトンド”の装飾が“ローマ時代のポンペイ様式”だから、 ローマ神話の女神“ヴィーナス像”を設置したんだみャ」 トロ:「なるほど、ちゃんと理由があったんですニャ」 トロ:「いや〜 キレイでしたニャ〜」 クロ:「出てきてすぐ正面にある建物が“ギャルリ・コルベール”を管理している“国立図書館”だみャ」 トロ:「本当にお隣さんですニャ」 クロ:「では、次の聖地へ移動だみャ」 クロ:「ここが次の聖地“モリエールの噴水”だみャ」 トロ:「これはまた大きいですニャ〜」 クロ:「噴水の上に座ってるのが、 17世紀に活躍したフランスの劇作家“モリエール”こと“”ジャン・パティスト・ポクラン”だみャ。 “モリエール”はオレっちたちが泊まってるホテルの真横にあった 国立劇団“コメディ・フランセーズ”の前身、“モリエール劇団”の団長だった人だみャ」 トロ:「それは凄い人ですニャ」 トロ:「でも国立劇団の団長さんだったら、もっと劇場の近くにこの噴水を作ればよかったのに」 クロ:「今でこそ“コメディ・フランセーズ”の劇場は“パレ・ロワイヤル”の南西側にあるんだケド、 当時は“パレ・ロワイヤル”北西側、 すなわちこの噴水の左横に“モリエール劇団”の本拠地“パレ・ロワイヤル劇場”があったんだみャ」 トロ:「なるほど、この近くにも劇場があったんですニャ」 クロ:「建物は残ってるケド、今は“演芸専用”のヴォードヴィル劇場として使われてるみャ」 トロ:「それにしても噴水というわりには、噴水の部分が少ないですニャ」 クロ:「確かに…」 トロ:「ところで何で“モリエールさん”は“目隠し”をしてるのニャ?」 クロ:「さぁ、本来は“目隠し”なんかしてないはずなんだけどみャ」 トロ:「でも“真っ赤な目隠し”がとっても気になりますニャ」 クロ:「う〜ん、“モリエール”が書いた作品に“なぞらえてる”のかと思ったけど、 特にそういう場面もエピソードも思い浮かばないみャ…。 目隠しをする像と言えば、ギリシャ神話の女神“テミス像”が有名だケド、全く関係ないよみャ…」 トロ:「じゃあ“目隠し”の理由は謎ということで、次の聖地へ行きますニャ」 クロ:「そうだみャ」 クロ:「ここが“パレ・ロワイヤル”の北の入口だみャ」 トロ:「次の聖地はココですニャ」 クロ:「いや、“クロワーゼ”の聖地じゃないんだケド、 せっかくだから 中を通って行こうと思っただけみャ」 トロ:「あれ?」 トロ:「あれれ? トロたちのお友達がいっぱい並んでますニャ」 クロ:「この店は“おもちゃ屋”みたいだみャ」 トロ:「こっちのお店には“ロボット”や“宝石箱”が売られてますニャ」 クロ:「“パレ・ロワイヤル”は元々、ルイ13世の宰相だった“リシュリュー公爵”が建てた城館 “パレ・カルディナル”と言われた建物なんだケド、 今はこうしたテナントがたくさん入ったショッピングモールになってるみャ」 トロ:「へぇ〜 お城だった建物に“おもちゃ屋さん”があるなんて、なんだか不思議ですニャ」 クロ:「1629年に完成した“リシュリュー公爵”の城館は、 完成からわずか13年後の1642年に“リシュリュー公爵”が亡くなって王家に遺贈されたんだみャ」 トロ:「せっかく建てた大きなお家に、たった13年しか住めなかったんですニャ…」 クロ:「その後、遺贈された“パレ・カルディナル”は“パレ・ロワイヤル”と名前を変えて、 1661年から ルイ14世の弟“ルイ・フィリップ1世(オルレアン公)”が住むことになったんだみャ」 トロ:「こんな大きなお家が貰えるなんてラッキーな人ですニャ」 クロ:「まぁ 王家の貴族だからみャ」 クロ:「“ルイ・フィリップ1世(オルレアン公)”>が住みはじめてから31年後の1692年、 “パレ・ロワイヤル”は正式に“オルレアン家”の所領になって、 以降、“パレ・ロワイヤル”を受け継ぐことになったんだみャ」 クロ:「それから約90年後の1781年、 当時“オルレアン家の5代目当主”だった“フィリップ・ドルレアン”が酷い浪費家で、 とんでもない額の借金を抱え込んだんだみャ」 トロ:「えっ、王家の貴族が借金をしたのニャ?」 クロ:「借金の返済に困った“フィリップ・ドルレアン”は、 自宅である“パレ・ロワイヤル”を大改装して、数多くの分譲住宅を売り出したり、 1階部分は店舗として販売して“巨大ショッピングセンター”にしたんだみャ」 トロ:「なんと!? それが今の“パレ・ロワイヤル”の姿というわけなのニャ?」 クロ:「その通り。 借金の返済の為に大改装された“パレ・ロワイヤル”にはたくさんの買い手がつき、 回廊式のショッピングセンターも人気を博して、借金の返済どころか多大な利益を生んだんだみャ」 トロ:「う〜ん、そこは失敗して挫折を味わってほしいところでしたが、大成功しちゃったんですニャ…」 クロ:「しかしお金が大好きな“フィリップ・ドルレアン”はその事業の大成功を受けて、 庭園の南側に新たな店舗を作って売り出そうと考えたんだみャ」 トロ:「事業拡大ってヤツですニャ」 クロ:「ところが建設途中で資金が尽きて、完成したのは“土台”だけだったんだみャ」 トロ:「ひょっとして、トロたちの目の前にあるのが、その“土台”なのニャ?」 クロ:「そうだみャ。 でもショッピングセンターの人気は依然続いていて、客は大勢来ていたから “フィリップ・ドルレアン”は完成していたこの“土台”の上に、 木造の仮説店舗“ギャルリ・ド・ボワ”を作って事業を継続したんだみャ」 トロ:「凄い執念ですニャ…」 クロ:「その後、フランス革命の時に“ギャルリ・ド・ボワ”は姿を消し、残っているのはこの“土台”だけみャ」 トロ:「でも今その“土台”の上に“丸い椅子”がたくさんありますニャ」 クロ:「あれは1986年に設置された、フランスの現代芸術家“ダニエル・ビュレン”の作品だみャ」 トロ:「なんか周りの建物とマッチしてませんニャ…」 クロ:「あの作品を発注したのは1985年にフランスの文化大臣だった“ジャック・ラング”なんだケド、 作品の完成時にはトロと同じ感想を持った人が多くて、賛否両論を巻き起こした問題作品だみャ」 トロ:「でも今はみんなの憩いの場所になってるみたいですニャ♪」 クロ:「そうだみャ」 クロ:「そして“ダニエル・ビュレンの円柱群”の後ろにあるゲートを出ると…」 クロ:「オレっちたちのホテル“シタディーヌ・スイーツ・ルーブル・パリ”が目の前にあるみャ」 トロ:「うわ、ムチャクチャ近いですニャ」 クロ:「では、その道を左に曲がって巡礼を続けるみャ」 トロ:「これはまた交通量が多い道路に出ましたニャ」 クロ:「パリの幹線道路のひとつ“リヴォリ通り”だみャ。 この道をずっと右方向へ進むと“シャンゼリゼ通り”になるんだみャ」 トロ:「あっ、“シャンゼリゼ通り”って聞いたことありますニャ」 クロ:「あとで行くから楽しみにしてるみャ」 トロ:「わ〜い♪」 トロ:「それにしても目の前の建物も立派ですニャ〜」 クロ:「あれは“ルーブル美術館”の“リシュリュー翼”だみャ。 ほらホテルのバルコニーから見えただろ」 トロ:「あぁ、これがあの有名な建物でしたか…」 クロ:「これから この横断歩道を渡って“ルーブル美術館”の正面を見に行くみャ」 トロ:「うわぁ〜 見るからに豪華な建物ですニャ〜」 トロ:「なんと巨大な!?」 クロ:「どうだこの光景、テレビや雑誌で見たことあるだろ」 トロ:「いっぱい見たことありますニャ」 クロ:「そりゃ ココはアニメだけじゃなく、多くの映画や小説などの舞台になった“世界的聖地”だからみャ」 トロ:「“世界的聖地”だけあって、ちゃんと日本語も書いてありますニャ」 クロ:「案内板の表記だけじゃなく、ちゃんとパンフレットやオーディオガイドも日本語版が用意されてるみャ」 トロ:「それは安心ですニャ」 トロ:「しかし建物のスケールが凄いですニャ〜」 クロ:「大きさだけじゃなくて、装飾の緻密さもハンパないみャ〜」 トロ:「世界中から観光客が集まる理由がよくわかりましたニャ」 クロ:「美術品の作品だけじゃなく、建物を見るだけどもココに来る価値は十分にあるみャ」 トロ:「これまた立派な像がありますニャ〜」 クロ:「これはイタリアの彫刻家“ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ”が制作した“ルイ14世の騎馬像”だみャ。 でもこの像にはいろいろな逸話があって、 モデルになっているルイ14世から破壊命令が出されたこともある“いわくつきの像”なんだみャ」 トロ:「へぇ〜 どうして“ルイ14世さん”はせっかく作ってくれた自分の像を壊そうとしたのニャ?」 クロ:「理由はシンプルで出来栄えが気に入らなかったからみャ。 そこでフランスの彫刻家“フランソワ・ジラルドン”が馬の足元に炎を付け足したり、 羽飾りが付いたヘルメットを頭に被せたりして改造を施したおかげで、像は破壊されずに済んだんだみャ」 トロ:「なるほど、それで今こうして飾られてるんですニャ」 クロ:「ちなみにこの像はレプリカで、本物の像は“ベルサイユ宮殿”にあるみャ」 トロ:「あら、そうなんですニャ」 クロ:「像の後ろにあるのは“ルーブル美術館のミュージアムショップ”だみャ」 トロ:「なんかプレハブの仮設感がある外観ですニャ」 クロ:「“ルーブル美術館”の中にも“ミュージアムショップ”はあるケド、 バカンスシーズンは特に観光客が多いから、大きい“ミュージアムショップ”を仮設で作ってるんだみャ」 トロ:「なるほど」 クロ:「では巡礼を再開するみャ」 トロ:「ちょっとクロ! “ルーブル美術館”の中に入らないのニャ?」 クロ:「“ルーブル美術館”は明日あらためて行くから、今日はパスするみャ」 トロ:「何だそうなのニャ…」 トロ:「あっ、コレって有名な“凱旋門”ですニャ♪ 実物はこんなに小さかったんですニャ〜」 クロ:「間違っちゃいないが、トロが知ってる凱旋門は“エトワール凱旋門”のことだみャ。 これは“カルーゼル凱旋門”っていう別の凱旋門だみャ」 トロ:「なんと、凱旋門って2つもあったのニャ?」 クロ:「作られた理由はどちらも同じだケド、大きさが全然違うみャ。 この“カルーゼル凱旋門”は1806年から1808年の2年間で建造されたケド、 “エトワール凱旋門”は1806年から1836年の30年もかかって建造された巨大建造物だみャ」 トロ:「それは凄い差ですニャ…」 クロ:「“カルーゼル凱旋門”をくぐった先の遠くに見えるのが“エトワール凱旋門”だみャ」 トロ:「確かに遠くに霞んで見えますニャ」 クロ:「これからあそこまで、歩いて行って、聖地“エトワール凱旋門”を巡礼するみャ」 トロ:「結構 距離がありそうだけど、了解ですニャ!」 トロ:「しかしさすがに人気観光地だけあって、スゴイですニャ」 クロ:「この“チュイルリー公園”の中には、“モネの睡蓮”が展示されている“オランジュリー美術館”や 現代アートや映像芸術が展示されている“ジュ・ド・ポーム国立美術館”などがあって、 観光客だけじゃなくて、地元のパリっ子にも人気があるんだみャ」 トロ:「公園の中に美術館があるなんて、なんだか東京の“上野公園”みたいですニャ」 クロ:「確かにそうだみャ」 トロ:「おや、左の奥に有名な“エッフェル塔”が見えますニャ♪」 クロ:「フランスのシンボル“エッフェル塔”だみャ。 あらゆる作品の舞台として描かれている聖地だから、もちろん巡礼する予定だみャ」 トロ:「わ〜い♪ それは楽しみですニャ」 クロ:「とにかく今は“エトワール凱旋門”まで移動するみャ」 トロ:「それにしても広い公園ですニャ」 クロ:「この“チュイルリー公園”があった場所には元々、 1564年にフランス王“アンリ2世”の王妃“カトリーヌ・ド・メディシス”が作らせた “チュイルリー宮殿”の小さな“イタリア式庭園”があったんだみャ」 トロ:「ここはフランスなのにイタリアのお庭を作ったのニャ?」 クロ:「“カトリーヌ”はイタリアの“フィレンツェ出身”だから、祖国をイメージして作らせたんだろみャ」 トロ:「なるほど〜、でもその時のお庭は小さかったって言ってたけど…」 クロ:「実は“チュイルリー宮殿”が完成するまで100年も掛かったから、 宮殿の敷地の大部分はずっと建設工事が行われてたんだみャ」 トロ:「なんと、そうだったのニャ。 じゃあ、“カトリーヌさん”は完成した宮殿を見てないってことなのニャ?」 クロ:「そういう事になるみャ。 1664年に“チュイルリー宮殿”が完成すると、当時のフランス王“ルイ14世”が “ヴェルサイユ宮殿の庭園”でも知られる造園家“ル・ノートル”に“イタリア式庭園”を取り壊して、 広大で優雅な左右対称の典型的な“フランス式庭園”に作り変えさせたんだみャ」 トロ:「それで今みたいに“広い公園”になったんですニャ」 クロ:「いや、その時点ではまだ“庭園”であって“公園”じゃないみャ」 トロ:「それってどういう事ニャ?」 クロ:「その時は“チュイルリー宮殿”の“庭園”だったから、一般人が立ち入ることなんて出来なかったみャ」 トロ:「確かに人のお家のお庭に勝手に入ったら通報されますニャ…」 クロ:「ところが“ルイ14世”は“広大なフランス式庭園”を作らせたにも関わらず、 “ヴェルサイユ宮殿の庭園”の方を気に入っていた為、 この“チュイルリー宮殿”の庭園をヨーロッパ初の“公共公園”として一般へ開放することにしたんだみャ」 トロ:「へぇ〜 ココってそんなに歴史のある公園だったんですニャ〜 ところで100年掛けて作ったその“チュイルリー宮殿”っていうのはどの建物ですニャ?」 クロ:「“チュイルリー宮殿”は取り壊されちゃったみャ」 トロ:「えっ!?」 クロ:「“チュイルリー宮殿”は、 “ルーヴル宮殿(美術館)”の“ドノン翼”と“リシュルー翼”をつなぐ形で建てられてたんだケド、 当時“プロイセン王国”と戦争をしていたフランスが戦争に敗北したことで発足した“臨時政府”と、 “パリ・コミューン”っていう“労働者政権”が、1871年に市街戦を展開する大規模な戦闘状態になって、 その戦闘に巻き込まれた“チュイルリー宮殿”は火災に遭い、大部分を焼失したんだみャ」 トロ:「それは非常事態ですニャ…」 クロ:「戦闘後、“チュイルリー宮殿”の一部の建物は残ったものの、 あまりに被害が甚大だったから1880年に全て取り壊されちゃったというわけみャ」 トロ:「100年も掛けて作ったのに残念ですニャ…」 クロ:「ところが2003年に、取り壊された“チュイルリー宮殿”の再建計画が打ち出されてるみャ」 トロ:「なんと!? それじゃあ昔の“チュイルリー宮殿”がもうすぐ見られるってことですニャ」 クロ:「ところが再建には“3億ユーロ(約540億円)”もの巨額の費用が必要で、 打ち出された再建計画では、その巨額の費用を“全て寄付によって賄う”っていう計画だから、 完成どころか、着工するのが一体いつになるのか分からない状況みャ」 トロ:「少なくてもトロが生きてるうちは無理そうですニャ…」 クロ:「“チュイルリー公園”は2005年から“ルーヴル美術館”が管理していて、 “チュイルリー宮殿”再建後は “ルーブル美術館”の収蔵品の一部を移して美術館”にする案が検討されてるみャ」 トロ:「それはなんとも気が早い話ですニャ…」 トロ:「なんか大きな池がありますニャ」 クロ:「あれは“バッサン・オクトゴナル”っていう池だみャ。 ここからじゃよく分からないけど、上からみたら八角形の形をしてるみャ」 トロ:「へぇ〜 それにしても池の周りでみんな寛いでますニャ〜」 クロ:「公園内にはたくさん椅子があって、誰でも自由に座っていいから、 天気の良い今日みたいな日は気持ちいいだろうみャ」 トロ:「あそこに巨大な“何か”が立ってますニャ…」 クロ:「あれは“オベリスク”っていう“古代エジプト”の神殿の前に立てられてたモニュメント(記念碑)だみャ」 トロ:「“古代エジプト”のモノが何でココに立ってるのニャ?」 クロ:「あの“オベリスク”は 1829年に当時のエジプト君主“ムハンマド・アリー・パシャ”が時計やシャンデリアと交換する形で 当時のフランス国王「ルイ・フィリップ王」に贈ったモノなんだみャ」 トロ:「贈ったって…、あんな巨大なモノを?」 クロ:「元々はエジプトの“ルクソール神殿”にあった2本の“オベリスク”の内の1本で、 あまりにも巨大だったから運搬に時間がかかって、 フランスに着いたのはなんと4年後の1833年だったんだみャ」 トロ:「マジですか!?」 クロ:「台座からトップまでの高さが約32m、重量はなんと約227トンもあったからみャ」 トロ:「そりゃ時間がかかって当然ですニャ…」 クロ:「“オベリスク本体”は1枚岩の“花崗岩”で造られていて、 台座には“オベリスクを立ち上げる手順”が刻まれているみャ」 トロ:「確かに図解で説明してますニャ」 クロ:「そして“オベリスク柱の4面”には、 “ヒエログラフ”(神聖文字)でエジプトのファラオ“ラムセス2世”のことが語られてるみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「そういえば この“オベリスク”って、 “ハートキャッチプリキュア!”の映画“花の都でファッションショー…ですか!?”で、 “デザトリアン”になってパリ中を暴れまくってたみャ」 トロ:「こんな巨大な敵と戦うなんて“プリキュアさん”たちって ホントにスゴイですニャ♪」 クロ:「オレっちだったら、戦意喪失するみャ…」 クロ:「“コンコルド広場”を抜けたら“シャンゼリゼ通り”だみャ」 トロ:「おぉ〜 ここが有名な“シャンゼリゼ通り”ですニャ♪」 クロ:「日本人なら歌の“オー・シャンゼリゼ”を思い浮かべる人が多いだろうみャ」 トロ:「あっ、なんかカッコイイ車が横切りましたニャ」 クロ:「あれは“ランボルギーニ ガヤルド”だみャ。 “シャンゼリゼ通り”を走る場面に遭遇するとは、これまたラッキーだみャ♪」 クロ:「…っと思ったケド、高級スポーツカーがズラリと並んでるみャ…」 トロ:「コレは何かのイベントですかニャ?」 クロ:「いや、どうやらレンタカーみたいだみャ」 トロ:「なんと、こんなカッコイイ車が借りられるニャ」 クロ:「あそこに“20分で90ユーロ(約16200円)”て書いてあるみャ」 トロ:「ここは“ひとクラス上の大人の巡礼”を提案する為にもレンタルするニャ〜♪」 クロ:「バカなことを言うんじゃない…。 ただでさえ、交通量と一方通行が多いパリで運転するのは難しいのに、 こんな乗りなれない高級スポーツカーの運転なんてハードルが高すぎるみャ」 トロ:「せっかく免許証も持ってるのに残念ですニャ…」 クロ:「それより巡礼を再開するみャ」 トロ:「目指す“凱旋門”にかなり近づきましたニャ」 クロ:「そうだみャ」 トロ:「それにしても ココから見る“凱旋門”は絵になりますニャ〜」 クロ:「テレビや写真でよく見るケド、やっぱ一度は実際に自分の目で見ておきたい光景だみャ」 トロ:「そうですニャ」 クロ:「“ガルーセル凱旋門”から大体1時間かかったみャ」 トロ:「ちょっと寄り道とかしちゃいましたからニャ」 トロ:「それにしても大きな門ですニャ〜」 クロ:「この“エトワール凱旋門”は 1806年にロシアとオーストラリアの連合軍を打ち破った“アウステルリッツの戦い”の勝利を記念して、 皇帝“ナポレオン・ボナパルト”が“世界で一番大きい門を作れ”って命じて作らせたから、 “ガルーセル凱旋門”とは大きさが全然違うだろ」 トロ:「これは“門”というより“ビル”ですニャ…」 クロ:「高さが50mもあるから、大体15階建てのビルと同じ高さだみャ」 トロ:「これは作るのに30年も掛かるわけですニャ」 クロ:「本当は建設途中に“ナポレオン政権”が崩壊したから、工事を中断した期間があるんだケドみャ」 トロ:「あらそうなんですニャ」 クロ:「ちなみに“ナポレオン”は“エトワール凱旋門”が完成する前の1821年に死んじゃったから、 この“エトワール凱旋門”の完成した姿を見てないんだみャ」 トロ:「何かそんな人が多いですニャ…」 クロ:「巨大建造物は作るのに時間がかかるから、歴史上の王や王族にはよくあることみャ」 クロ:「HTB(北海道テレビ放送)の番組“水曜どうでしょう”で最高視聴率をマークした名作だみャ」 トロ:「はて? “水曜どうでしょう”って聞いたことがあるような…」 クロ:「3年前の聖地巡礼で“和倉温泉”へ行った時に話題にしたみャ」 トロ:「あぁ〜 “大泉さん”と“ミスターさん”が出てる番組ですニャ」 クロ:「あと“ヒゲ”と“うれしー”も忘れちゃダメみャ」 トロ:「トロは“onちゃん”が好きなのニャ〜」 クロ:「コラ、脱線するんじゃない…。 “水曜どうでしょう”の名作“ヨーロッパ・リベンジ”は、 ちょうどこの“エトワール凱旋門”の前からスタートしたんだみャ」 トロ:「へぇ〜 じゃあココは“水曜どうでしょう”の聖地でもあるんですニャ」 クロ:「そういうことだみャ♪ それにしても“ヨーロッパ・リベンジ”は1999年に放送されたから、もう16年も経つんだみャ…」 クロ:「じゃあ“エトワール凱旋門”の中を巡礼するみャ」 トロ:「えっ、あの中って入れるのニャ?」 クロ:「もちろん! パリの定番観光スポットの一つだみャ」 トロ:「あれ? 門の中に入るんじゃなかったのニャ?」 クロ:「“エトワール凱旋門”の周りは“ラウンドアバウト”になってるから人は通れないないんだみャ。 だからこの地下道を通って“エトワール凱旋門”の下へ行くんだみャ」 トロ:「なるほど」 トロ:「意外に地下道は普通ですニャ…」 クロ:「まぁ 単なる通路だからみャ」 トロ:「うわぁ〜! 地上に出たらスゴイ光景ですニャ〜」 クロ:「“緻密なバラの彫刻”と“あまりの巨大さ”に圧倒されるみャ〜」 トロ:「これは想像以上の大迫力ですニャ」 クロ:「“エトワール凱旋門”は遠くから眺めても良いケド、やっぱ間近で見るのが一番だみャ」 トロ:「そこにあるのが入口ですニャ」 クロ:「思ったより人が少ないから、これならスグに入れそうだみャ」 トロ:「それは良かったですニャ♪」 トロ:「はぁ…、はぁ…、全然良くないのニャ… あんなに長い螺旋階段があるなんて聞いてないですニャ…」 クロ:「そりゃ言ってないからみャ… でも普通に考えたら、1836年に完成した建物に“エレベーター”があるなんて思わないだろ…」 トロ:「確かに…そうです…ニャ…」 クロ:「ところが“エトワール凱旋門”には“エレベーター”が完備されてるみャ」 トロ:「なんですと!? そういうことは…もっと早く…言ってほしかったのニャ…」 クロ:「でもその“エレベーター”は“お年寄り”や“身体の不自由な人”専用だから、 その他の人は使えないようになってるみャ」 トロ:「なるほど…、そういうことでしたか…」 トロ:「はぁ…、はぁ…、はぁ…、やっと階段を上りきったのニャ……」 クロ:「狭い階段で休まずに一気に のぼったから、思ったよりキツかったみャ…」 トロ:「数えながら のぼったけど、284段もあったのニャ…」 クロ:「とにかく 一旦そこのベンチに座って少し休憩するみャ…」 トロ:「賛成ですニャ…」 クロ:「さぁ 休憩して復活したから巡礼再開だみャ」 トロ:「なんか下から見上げた印象より、中はだいぶ狭いですニャ」 クロ:「“エトワール凱旋門”の内部は2層構造になっていて、この空間は狭い下層フロアなんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「あの階段で広い上層フロアに行けるようになってるみャ」 トロ:「じゃあ、早速行ってみるニャ」 トロ:「ほほぅ、コレは広いですニャ〜」 クロ:「ここは“アッティカの間”っていう広間で、 “戦争と平和”や“凱旋門の歴史”をテーマにした博物館になってるんだみャ」 トロ:「確かにいろいろ展示してますニャ」 クロ:「“ミュージアム・ショップ”も完備してるみャ」 トロ:「ちゃんとしたお店で、とても門の中にあるとは思えませんニャ」 クロ:「じゃあ、フランスでは貴重な“公衆トイレ”で用を済ませてから“屋上テラス”へ行くみャ」 トロ:「えっ、門の屋上にテラスがあるのニャ?」 クロ:「そうだみャ。 “エトワール凱旋門”のテラスから眺める風景は、 区画整理されたパリの街並みがキレイに見えるから観光客に大人気なんだみャ」 トロ:「へぇ〜 それは楽しみですニャ♪」 トロ:「あっ、屋上へ行くということは、また階段を上るってことでしたニャ…」 クロ:「そういう事だみャ」 トロ:「それにしても狭い階段ですニャ…」 クロ:「さぁ これが最後の階段だみャ」 トロ:「この上が屋上ですニャ」 クロ:「どうよ、立派な“屋上テラス”だろ」 トロ:「ずっと“凱旋門”って、ただ大きい門としか思ってなかったけど、 屋上がこんなテラスになっていたとは驚きですニャ」 クロ:「驚くのはこのテラスからの眺めだみャ」 トロ:「これはスゴイですニャ〜♪」 クロ:「その正面の大通りが、オレっちたちが歩いてきた“シャンゼリゼ通り”だみャ」 トロ:「クロがさっき言ったみたいに“区画整理されたパリの街並み”がとってもキレイですニャ♪」 クロ:「この“エトワール凱旋門”を中心に“12本”の道が放射状に延びていて、 その形が真上から見たら“光り輝く星”のように見えるから、 フランス語で“星”を意味する“etoile(エトワール)”って名前が付けられたんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「よく見ると遠くに“オベリスク”や“ルーブル美術館”が見えるみャ」 トロ:「さらに目を凝らしたら“小さな方の凱旋門”も見えますニャ」 クロ:「マジで!?」 ※ 肉眼で“ガルーセル凱旋門”はとても見えません…。 トロ:「あれ!? 向こうの方にも“凱旋門”がありますニャ」 クロ:「あぁ、アレは“グランダルシュ”っていうオフィスビルで“凱旋門”じゃないみャ」 トロ:「え、そうなのニャ? でも形が“凱旋門”に似てますニャ」 クロ:「“グランダルシュ”はパリの近郊にある副都心“ラ・デファンス”に建てられたオフィスビルなんだケド、 “グランダルシュ”を設計したデンマークの建築家“ヨハン・オットー・フォン・スプレッケン”は、 建築する場所が“ガルーセル”と“エトワール”の二つの“凱旋門”の延長線上だったから、 “20世紀の凱旋門として、ヒューマニズムの象徴になることを願って”設計したって言ってるみャ」 トロ:「それじゃあ“凱旋門”に似せてるわけだから、似ていて当然ですニャ」 クロ:「そして あそこに見えてるのが…」 トロ:「あっ!“エッフェル塔”ですニャ!」 クロ:「食いつきが早いみャ…」 トロ:「“エッフェル塔”って、“凱旋門”の上から こんなによく見えるんですニャ」 クロ:「建ってる場所が意外と近いからみャ」 トロ:「それにしても“東京タワー”にそっくりですニャ クロ:「“エッフェル塔”は1889年、“東京タワー”は1958年に建てられたんだから、 それを言うなら“東京タワー”が“エッフェル塔”に似てるんだみャ」 トロ:「あら、“エッフェル塔”の方が約70年も先輩だったんですニャ」 クロ:「“東京タワー”と“エッフェル塔”は形は似てるケド、実は構造は違うんだみャ」 トロ:「へぇ〜 そうなのニャ」 クロ:「日本は地震が多いし “東京タワー”が建ってる“東京の芝”は、“東京湾”に近いから“海風の影響”も大きく受けるんだみャ。 だから“エッフェル塔”より太い鉄骨を使ったり“地震に強い構造計算”をして頑丈に作られてるんだみャ」 トロ:「なるほど〜」 クロ:「では地上まで下りるみャ」 トロ:「また狭い階段を歩くんですニャ…」 クロ:「今度は下りだから楽だろ?」 トロ:「でも狭くて急な階段だから、足を滑らせそうになるのニャ」 クロ:「確かにそうだみャ…、ここは慎重に下りるみャ」 トロ:「おや、広い場所に出たと思ったら、なにか展示してますニャ」 クロ:「どうやら“歴代のフランス軍の軍服”をパネル展示してるみたいだみャ」 トロ:「確かに“軍人さん”が着ている服ですニャ」 クロ:「実物の軍服ならじっくり鑑賞するところだケド、パネル展示だから先を急ぐみャ」 トロ:「そうですニャ」 トロ:「やっと一番下まで下りてきましたニャ」 クロ:「おや…」 クロ:「こんなところに“凱旋門”の“見取り図”が貼ってあるみャ」 トロ:「なるほど、こうなってたんですニャ」 クロ:「さぁ 地上に戻ってきたみャ」 トロ:「改めて見ると“凱旋門”には誰かの名前がいっぱい書いてあるんですニャ」 クロ:「“エトワール凱旋門”は“ナポレオン”が“オーステルリッツの戦い”で勝利を納めた戦勝記念碑として 建設されたって話したケド、 左右のアーチの壁に刻まれているのは、その時に活躍した“将軍”や“兵士”の名前なんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「この中には“フランス革命”の時の“将軍”の名前も入っていて、総勢で660人の名前が刻まれてるみャ」 トロ:「その660人の人たちはフランスにとって“英雄さん”だったんですニャ…」 トロ:「おや、こんなところで火が燃えてますニャ」 クロ:「これは“第一次世界大戦”時にフランスで亡くなった160万人の戦没者を祀った“無名戦士の墓”だみャ」 トロ:「なんと、これは“お墓”なんですニャ」 クロ:「毎日18時30分になると“献花式”が執り行われて、こうして“追悼の炎”が点火されるんだみャ」 トロ:「毎日“献花式”をやるなんて とっても偉いですニャ…」 クロ:「ちなみに中央のゲートの天井部分にある“真ん中の花の彫刻”の中には“カメラ”が仕掛けられてるみャ」 トロ:「確かにアノ花の中心だけ、他の花と違いますニャ」 クロ:「あのカメラで“無名戦士の墓”の様子を確認できるようになってるんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「いや〜 ついに来たみャ、“エッフェル塔”!」 トロ:「ライトアップされて、とってもキレイですニャ〜♪」 クロ:「周辺は“メリーゴーラウンド”や“売店”や“露店”がいっぱいあって、賑わってるみャ〜」 トロ:「“エッフェル塔”の近くにも“メリーゴーラウンド”が いくつもありますニャ♪ また“メリーゴーラウンド”に乗りますニャ?」 クロ:「いや、今回は別のモノに“乗る”みャ」 トロ:「えっ!? 何に乗るのニャ?」 クロ:「“クルーズ船”に乗って“パリの夜景を満喫”するんだみャ♪」 トロ:「なんと乗るのは“お船”でしたか」 クロ:「やっぱパリに来たら“セーヌ川クルーズ”をしとかないとみャ」 トロ:「パリ観光の定番なんですニャ」 クロ:「そうだみャ。 “セーヌ川クルーズ”はとても人気があって、クルーズ船の運航会社はいくつかあるんだケド、 今回は乗るのは“バトー・パリジャン”のクルーズ船だみャ」 トロ:「乗船して いきなりこの眺めですか!?」 クロ:「特等席を確保できたみャ♪」 トロ:「なんてキレイな眺めなのニャ〜♪」 クロ:「さぁ 出航だみャ♪」 トロ:「ナイトクルーズのはじまりですニャ♪」 クロ:「まず見えてきたのは“アルマ橋”だみャ」 トロ:「この橋もキレイにライトアップしてますニャ」 クロ:「この船みたいに、何隻もナイトクルーズ船が運航してるから、 さすがに全部とはいかないケド、“セーヌ川”に架かってる大きい橋は大体ライトアップしてるみャ」 トロ:「それは嬉しいですニャ〜♪」 クロ:「おっ、“バトー・ムーシュ”の船着場だみャ」 トロ:「あれも大きなクルーズ船ですニャ」 クロ:「“バトー・ムーシュ”は1949年に設立された船会社で、 “セーヌ川クルーズ船”の中で最も有名なパイオニア的船会社なんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「今度は“アンヴァリッド橋”が見えてきたみャ」 トロ:「この橋は“橋脚の彫刻”がライトアップされてキレイですニャ」 クロ:「次は“アレクサンドル3世橋”だみャ」 トロ:「今度の橋は装飾が豪華で、橋にしておくのは勿体無いほどキレイですニャ〜♪」 クロ:「しかし船が揺れて、うまく写真が撮れないみャ…」 クロ:「あれは“フランスの国会議事堂”(左)と“オルセー美術館”(右)だみャ」 トロ:「あっちはトロたちが前を通った“ルーブル美術館”(左)ですニャ」 クロ:「そっちは芸術橋とも言われる“ポンデザール”(右)だみャ」 クロ:「次は1607年に作られたという、パリに現存する最古の橋“ポンヌフ”だみャ」 トロ:「なんと、400年以上も前に架けられた橋なんですニャ」 クロ:「そしてお次は“サン・ミッシェル橋”だみャ」 トロ:「なんか橋脚に“N”って書いてますニャ」 クロ:「“サン・ミッシェル橋”は1378年に架けられた橋なんだケド、 その後、老朽化などの理由で6回架け替えられていて、 現在架かってる6代目の橋は1857年の“ナポレオン3世”の統治下時代に架けられたから、 あの“N”は“ナポレオン3世”のことを表しているんだみャ」 トロ:「なるほど」 トロ:「しかし お船の幅ギリギリを通るから、結構 迫力がありますニャ」 クロ:「それもこのクルーズの醍醐味だみャ」 トロ:「何とこれまたキレイにライトアップされた建物が見えて来ましたニャ〜♪」 クロ:「アレこそ“ゴシック建築の傑作”のひとつと言われる世界遺産“ノートルダム大聖堂”だみャ」 トロ:「あれが有名な大聖堂なんですニャ〜」 クロ:「ライトアップも気合が入っていて、他の建物よりも際立ってるみャ」 トロ:「おや、上のほうから声がすると思ったら、こっちに手を振ってくれてますニャ♪」 クロ:「ホントだみャ。 酒瓶を持ってるみたいだから、盛り上がってるんだろうみャ〜」 トロ:「ここから先は川沿いに遊歩道がありますニャ」 クロ:「あれは“プロムナード・モーリス・カレーム”っていう遊歩道だみャ。 この先の“アルシュヴェシェ橋”までの約350mくらいしかないんだケド、地元の人気スポットだみャ」 トロ:「“ノートルダム大聖堂”の真横って、スゴく細かい“丸い装飾”があるんですニャ〜」 クロ:「あぁ“バラ窓”のことだみャ」 トロ:「“バラ窓”?」 クロ:「“バラ窓”は“聖母マリア”を描いた円形の“ステンドグラス”のことだみャ」 トロ:「あれって“ステンドグラス”だったんですニャ」 クロ:「だからこうして外から見るより、中から見た方が格段にキレイなんだみャ」 トロ:「へぇ〜 それは是非見てみたいですニャ〜♪」 クロ:「明日“ノートルダム大聖堂”を文字通り“巡礼”するから、その時に鑑賞するといいみャ」 トロ:「わ〜い♪ 楽しみにしてますニャ♪」 クロ:「おっ“アルシュヴェシェ橋”が見えてきたみャ」 トロ:「なんか手すりが“金色”に輝いてますニャ〜」 クロ:「あの“金色”の部分は、欄干にかけられた“愛の南京錠”だみャ」 トロ:「“愛の南京錠”っていうことは、あれ全部が“南京錠”なのニャ?」 クロ:「そうだみャ。 2000年頃から“パリに訪れる恋人たち”が“自分たちの愛をパリに封印する”っていう思いで、 この“アルシュヴェシェ橋”やさっき通った“ポンデザール橋”の欄干に “愛の南京錠”をかけるようになったんだみャ」 トロ:「でも“ポンデザール橋”には“南京錠”が かかってなかったですニャ」 クロ:「かけられた“愛の南京錠”の数があまりに多すぎて、橋が崩壊する恐れが出たから全て撤去されたんだみャ」 トロ:「橋が崩壊するなんて、そんなにスゴイ数だったのニャ?」 クロ:「“ポンデザール橋”は約95トン、この“アルシュヴェシェ橋”は約40トン分の“愛の重さ”がかかってるみャ」 トロ:「約95トン分の“南京錠”って、想像もつかない数ですニャ…」 クロ:「まだ“アルシュヴェシェ橋”の“愛の南京錠”は残ってるケド、 もっと数が増えたら撤去されるかもしれないみャ」 トロ:「“愛”や“思い出”も大切だけど、橋が崩壊したら危ないですからニャ…」 クロ:「今度見えてきたのは“トゥルネル橋”だみャ」 トロ:「この橋も何か特徴があったりするんですニャ?」 クロ:「ココからじゃ反対側にあってよく見えないケド、 守護聖人“聖ジュヌヴィエーヴ”の像が設置された15mの塔が橋にくっついてるみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「あと“セーヌ川”が増水した時に水位を測るのは、この“トゥルネル橋”って決まってるみャ」 トロ:「それは何か地味な特徴ですニャ…」 トロ:「うわ! 何か強烈な光を発してる橋がありますニャ!」 クロ:「あれは“オーステルリッツ橋”だみャ。 “セーヌ川クルーズ”はここでUターンすることになっていて、 ナイトクルーズでは船同士が接触しないように、強烈な光で“セーヌ川”全体を照らしてるんだみャ」 トロ:「なるほど、あれは事故防止用の光だったんですニャ」 クロ:「ほら、オレっちたちの船もUターンを始めたみャ」 トロ:「ホントですニャ」 トロ:「おや、よく見たら川沿いに 人がたくさんいますニャ」 クロ:「ホントだみャ」 クロ:「あそこは“チノ・ロッシ”っていう川沿いの公園で、地元で人気のある公園だみャ」 トロ:「それにしても凄い人数ですニャ…」 クロ:「どうやら“ダンスパーティー”をやってるみたいだみャ」 トロ:「夜の“セーヌ川”でダンスなんて、ロマンチックですニャ〜」 クロ:「船はUターンして“サン・ルイ島”の右側へ進むみャ。 ちなみにこの橋は“シュリー橋”だみャ」 トロ:「“セーヌ川”にはホントにたくさんの橋が架かってるんですニャ」 クロ:「そして次に見えてきたのは、聖地“マリー橋”だみャ」 トロ:「聖地ですと?」 クロ:「あの“マリー橋”はアニメで ちょこっとだけ映った橋なんだみャ」 トロ:「ホントによくチェックしてますニャ…」 クロ:「その為にフランスまで来たからみャ。 そんでもって あの橋はかつて“改革橋”と呼ばれていた“ルイ・フィリップ橋”だみャ」 トロ:「なんであの橋が“改革橋”だったのニャ?」 クロ:「“フランス革命”後の混乱期に起きた“1848年革命”の時に、 昔あそこに架かっていた初代“ルイ・フィリップ橋”が崩壊したんだみャ。 その後“1848年革命”が成功して、革命が行われた時に橋が再建されたから “革命橋”ってよばれるようになったんだみャ」 トロ:「へぇ〜」 クロ:「でも“改革橋”って実際に呼ばれていた橋は取り壊されていて、 1862年に現在のあの橋に架け替えらてるみャ」 トロ:「どうして“改革橋”は取り壊されたのニャ?」 クロ:「特に深い意味はなくて、単に交通量が増えたから頑丈な橋に架け替えただけみャ」 トロ:「な〜んだ」」 トロ:「向こうの方に“ノートルダム大聖堂”が見えますニャ」 クロ:「“シテ島”の反対側へ来たみたいだみャ」 クロ:「おっ、コレは聖地“アルコル橋”だみャ」 トロ:「この橋も聖地なんですニャ?」 クロ:「“アルコル橋”はアニメで度々登場してるんだケド、 全て“橋の上でのやり取り”の場面でしか登場してなくて、橋の外観は画がかれてないんだみャ」 トロ:「ふ〜ん」 クロ:「しかしそのお隣の橋、聖地“ノートルダム橋”は…」 クロ:「ちゃんとアニメで描かれてるみャ♪」 トロ:「よく見たら鉄の部分の装飾が実に細かいですニャ〜」 クロ:「実は昔は木製の橋で、橋の上に商店街や住居があったっていう 一風変わった歴史を持つ橋なんだみャ」 トロ:「へぇ〜 それは確かに変わってますニャ〜」 トロ:「これはまた、お城みたいな建物が建ってますニャ」 クロ:「“コンシェルジュリー”っていう“フィリップ4世の元宮殿”だみャ」 トロ:「やっぱりお城だったんですニャ」 クロ:「でも“牢獄”として使われていた時代もあるんだみャ」 トロ:「それってイギリスの“ロンドン塔”みたいですニャ」 クロ:「そうだみャ。 現在“コンシェルジュリー”は“司法宮”として使われていて、 “ロンドン塔”と同じく世界遺産”に登録されてる歴史ある建物なんだみャ」 トロ:「パリには“世界遺産”もいっぱいあるんですニャ〜」 クロ:「“ポンヌフ”の“長い橋の方”が見えてきたみャ」 トロ:「“長い橋の方”ってどういう意味ニャ?」 クロ:「“ポンヌフ”は“シテ島”の先端部分を貫いてる橋で、 “短い橋”と、この“長い橋”の“二つ合わせてひとつの橋”なんだみャ」 トロ:「なるほど、そういう事でしたか」 トロ:「でも行きの“短い橋”の時には気づかなかったけど、 橋には“恐い顔のおじさん”がいっぱい付いてますニャ…」 クロ:「あれは“マスカロン”っていう“魔除けの怪人”だみャ」 トロ:「じゃあ日本の“鬼瓦”みたいなものですニャ」 クロ:「そういうことだみャ。 この“ポンヌフ”には全部で385個の“マスカロン”が付いていて、全て違う顔なんだみャ」 トロ:「そんなに!?」 クロ:「“シテ島”を通り過ぎたら“エッフェル塔”が見えてきたみャ」 トロ:「だいぶ戻ってきたみたいですニャ」 トロ:「おっ、あそこにまた人が集まってますニャ」 クロ:「今度は“ダンス”じゃなくて“ライブ”をしてるみたいだみャ」 トロ:「確かにココなら大きな音を出しても迷惑は掛かりませんニャ」 クロ:「“フランス学士院”のライトアップも気合が入ってるみャ〜」 トロ:「ホントにとってもキレイですニャ〜」 クロ:「それに比べたら対岸の“ルーブル美術館”は控えめだみャ…」 トロ:「これはこれで良い雰囲気ですニャ」 クロ:「“オルセー美術館”まで戻って来たみャ」 トロ:「おや、お船の中でダンスパーティーをやってますニャ」 クロ:「一見すると係留された“レストラン船”だケド、今日は貸切みたいだみャ」 トロ:「後ろの歴史のありそうな建物とのギャップが激しいですニャ…」 クロ:「ちなみに後ろの建物は“レジオン・ドヌール勲章博物館”だみャ」 トロ:「だんだん“エッフェル塔”が大きくなってきましたニャ」 クロ:「この“コンコルド橋”を過ぎたら“アレクサンドル3世橋”だみャ」 クロ:「今度こそ ちゃんと撮影するみャ」 トロ:「頑張るニャ!」 クロ:「橋の真ん中にある“ニンフ像”は捉えたケド、暗くてイマイチ分からないみャ…」 クロ:「よし、橋をくぐったら 今度は振り返って…」 クロ:「 って、残念ながら またしても良い写真は取れなかったみャ…」 トロ:「気を落とさず、今度は輝く“エッフェル塔”の写真を撮るのニャ」 クロ:「そうだみャ♪」 トロ:「終点の船着場が見えてきたのニャ」 クロ:「やっぱ“エッフェル塔”のライトアップの美しさはズバ抜けてるみャ〜♪」 トロ:「全くですニャ〜♪」 トロ:「あれ? 船着場を通り越していきますニャ」 クロ:「この“イエナ橋”を越えたところで“Uターン”するんだみャ」 トロ:「なるほど」 クロ:「ここが“Uターン”ポイントだみャ。 船が減速するから絶好のシャッターチャンスだみャ!」 トロ:「なんと凄い連写ですニャ!!」 クロ:「そんなわけで、船着場に到着だみャ」 トロ:「出航してからちょうど1時間くらいで戻ってきましたニャ」 クロ:「では、下船する前に…」 トロ:「ところで“エッフェル塔”には登らないのニャ?」 クロ:「この時期は24時45分まで営業してるケド、もう22時45分だからみャ…。 この時間でこの賑わいだから、すんなり登れるとは限らないし、今日のところは諦めるみャ…」 トロ:「やっぱり2時間じゃ足りませんでしたか…」 クロ:「でも、明日分の“エッフェル塔”の“優先入場チケット”を手配してるから、 明日だったらすんなり登れるみャ♪」 トロ:「さすがクロ! 抜かりがありませんニャ♪」 クロ:「まぁ そういう事で今日はこれでホテルに戻るみャ」 トロ:「でも“ノートルダム大聖堂”に“エッフェル塔”に“ルーブル美術館”とは、明日も忙しそうですニャ…」 ※ “アルマ・マルソー駅”でメトロに乗ってホテルへ帰りました…。 トロ:「ところで売店で軽食をつまんだりしたけど、ちゃんとした“夕食”をまだ食べてませんでしたニャ」 クロ:「“晩メシ”だったら、もう準備してるだみャ」 トロ:「にゃんと!? こんなご馳走いつの間に用意したのニャ?」 クロ:「実は巡礼の合間に“スーパーへ買い出し”に行ってたんだみャ」 クロ:「ちゃんと“白米”も用意してあるみャ♪」 トロ:「パリのスーパーには白米も売ってるんですニャ」 クロ:「確かに売ってるケド…」 クロ:「今回はお手軽な“レトルトごはん”を日本から持ってきたみャ」 トロ:「あっ“サトウのごはん”ですニャ」 クロ:「この部屋に“レンジ”が付いてるのを事前に知ってたからみャ」 クロ:「その他は現地調達だみャ」 トロ:「冷蔵庫の中が“チョイ住み”みたいになってますニャ」 クロ:「ちゃんと“シャンパン”も買ってきたから、乾杯するみャ♪」 トロ:「わ〜い♪」 クロ:「では、パリの夜に…」 クロ:「カンパ〜イ! だみャ♪」 トロ:「カンパ〜イ! ですニャ♪」 トロ:「ここが日本だったら“マッサージ”をお願いしたいところですニャ…」 クロ:「海外でもリゾートホテルだったら“リラクゼーション・マッサージ”のサービスが受けられるケド、 ここはパリだからみャ…」 クロ:「そう思って“低周波治療器”も日本から持ってきたみャ」 トロ:「さすがですニャ〜♪」 クロ:「オレっち的にはコレも海外での必需品だみャ」 トロ:「そういう事なら“低周波治療器”でマッサージしながら、シャンパンでも飲みますニャ」 クロ:「それは良い考えだみャ」 トロ:「ところで明日は何時に起きるのニャ?」 クロ:「そうだみャ、7時過ぎってところかみャ」 |
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