クロと旅する 3

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 ・旅3日目ー1

 

 

 

 クロ:「さらば“Horseguards Suite”お金を貯めて また来るみャ〜」
 トロ:「2日間お世話になりましたニャ〜」


 

 クロ:「さぁ“セントパンクラス駅”に到着だみャ」
 トロ:「この駅にもホテルの最寄駅
(エンバンクメント駅)から乗り換えなしで来られるんですニャ」
 クロ:「あそこの立地の良さはトップクラスだからみャ」

 ※ ホテルからの移動の写真を撮り忘れましたが“エンバンクメント駅”から サークル線で12駅先が“セントパンクラス駅”です。

 

 トロ:「なんかピアノの音が聞こえると思ったら、階段の下にピアノを弾いている人がいますニャ♪」
 クロ:「あれはこの駅の名物になってる“誰でも自由に弾いていいピアノ”だみャ」
 トロ:「へぇ〜 ロンドンの駅にはそんなピアノが置いてあるのニャ」
 クロ:「いや、ロンドンの駅だけじゃなく全世界にこうしたピアノが1300台以上も設置されてるんだみャ」
 トロ:「えっ、それってどういう事ですニャ?」
 クロ:「実はあのピアノはイギリスの芸術家“ジェラム・ルーク”の作品の一部で、
     世界中に設置された1300台以上のピアノを全て含めて“Play Me,I’m Yours”っていう
     1つの芸術作品なんだみャ」
 トロ:「にゃんと!? そんなにたくさんのピアノが1つの芸術作品なのニャ?」


 

 クロ:「ピアノひとつひとつに“Play Me,I’m Yours”とペンキで書かれていて、
     駅だけじゃなく世界中の公園や市場なんかに設置されてるんだみャ」
 トロ:「それは凄い作品ですニャ〜
     ところで“Play Me,I’m Yours”ってどんな意味なんですニャ?」
 クロ:「直訳すると“私を弾いて下さい、私はあなたのモノです”って感じかみャ。
     まぁ意味的には“ご自由にお弾き下さい”ってことだみャ」
 トロ:「じゃあ、あそこでピアノを弾いている人はお仕事とかじゃなくて、好きで弾いてるってことですニャ」
 クロ:「そうだみャ。
     ちなみに“セントパンクラス駅”にはあのピアノが離れた場所に5台設置されていて、
     これまで著名なピアニストが何人も即興でゲリラライブをしてるんだみャ」
 トロ:「そんな場面に出くわした人はラッキーですニャ〜♪」
 クロ:「そういや 2年前に現代の世界最高のピアニストと謳われるロシアの“ヴァレンティーナ・リシッツァ”が、
     この駅に通りがかった時に演奏したって話題になったから、その場にいた人はマジでラッキーだったみャ」
 トロ:「そんな凄い人までこの駅のピアノを弾いてるんですニャ…」

 

 クロ:「さぁ ここが“ユーロスター”の改札口だみャ」

 

 トロ:「なんか新幹線の改札口と似てますニャ」
 クロ:「そうだみャ」

 

 トロ:「なるほど、だから早めにココへ来たんですニャ」
 クロ:「そういう事だみャ

 

 

 

 

 トロ:「ここは電車の駅というより、まるで空港の出発ターミナルみたいですニャ」
 クロ:「まさしく その通りだみャ。
     ここにも“ビジネスプレミア・ラウンジ”っていう空港と同じようなラウンジがあるんだみャ」
 トロ:「マジですか!?
     じゃあ、ひょっとしてトロたちもこれからそこへ…」
 クロ:「いや、残念ながらオレっちたちは入れないみャ。
     オレっちたちが乗るのはファーストクラス(1等車)なんだケド、
     実はファーストクラスの中で“ビジネスプレミア”と“スタンダードプレミア”に分かれていて、
     今日乗るのは“スタンダードプレミア”なんだみャ」
 トロ:「“ひとクラス上の大人の巡礼”を提案するクロには珍しく、ちゃんと節約したんですニャ」
 クロ:「まぁ、ラウンジを使うにしても30分くらいだし、
    “ビジネスプレミア”と“スタンダードプレミア”では料金が倍以上も違うから、今回は節約しちゃったみャ」
 トロ:「そんなに料金の差があるのニャ!?」
 クロ:「ラウンジが使えなかったり、車内で提供される食事の内容や飲み物に差があるケド、
     座るシートはどちらも同じだみャ」
 トロ:「たったそれだけの差で料金が倍以上も違うのニャ?」
 クロ:「時間帯によって提供される食事は違うケド、
     ビジネスプレミアの食事はミシュランで2つ星以上を獲得したシェフが考案していたりするから、
     とても美味しいって評判なんだみャ」
 
トロ:「なるほど、料金の差はそのお料理代ってことですニャ」
 
クロ:「サービスと料金の差に価値を見出せれば、“ビジネスプレミア”で優雅に旅を楽しむのも良いかもみャ」

 

 クロ:「おや、オレっちたちが乗る電車が10分遅れになってるみャ…」
 トロ:「海外の電車は日本みたいに正確じゃないですからニャ」
 クロ:「今日はたくさん電車を乗り継ぐから心配してたんだが、1本目から遅れるとはみャ…」

 

 トロ:「これがトロたちが乗る“ユーロスター”ですニャ〜♪」
 クロ:「そうだみャ。
     座席のナンバーを確認して乗り込むシステムになってるから、ちょっと時間がかかるみャ。
     それにしても遅延が10分で済んで良かったみャ」

 

 

 トロ:「おっ 動き出したのニャ」

 

 

 

 トロ:「今って海の底を走ってるのニャ?」
 クロ:「そうだみャ。
     日本では“ドーバー海峡トンネル”とか“ユーロトンネル”って呼んでるケド、
     イギリスでは“チャネル・トンネル”フランスでは“ル・テュネル・ス・ラ・マンシュ”って呼んでるみャ」
 トロ:「へぇ〜 国によって名前が違うんですニャ」
 クロ:「日本はともかく、
     イギリスとフランスを結ぶトンネルだし、言葉も違うんだから名前が違って当然だみャ」
 トロ:「確かにそうですニャ。
     それにしても長いトンネルですニャ、ずっと窓の外が真っ暗ですニャ…」」
 クロ:「トンネルの総延長は約50km、海底部分だけで約38kmもある世界一長い海底トンネルだからみャ」
 トロ:「なるほど、そんなに長いトンネルじゃ通り抜けるのに時間がかかりますニャ」
 クロ:「着工から完成まで8年もかかったトンネルみャ。
     その努力と苦労を噛み締めながら、ありがたく通らせてもらうみャ」


 

 

 クロ:「そして朝食の時間だみャ」
 トロ:「これは美味しそうなパンですニャ♪」
 クロ:「でも“スタンダードプレミア”に加えて朝の時間帯だから、パンと飲み物しか提供されないんだけどみャ」
 トロ:「えっ、それってどういうことですニャ?」
 クロ:「ユーロスターは時間帯に応じて提供される料理の内容が違うんだみャ。
     朝・昼・夜の順に料理が豪華になっていって、朝のこの時間帯が一番さびしい内容なんだみャ…」
 トロ:「そうなのニャ」
 クロ:「11時以降の列車に乗れば、このパンに加えて ちゃんとメインの“おかず”が付いたんだけどみャ」
 トロ:「ちなみに“ビジネスなんちゃら”のお食事ってどんな料理なのニャ?」
 クロ:「見た目のイメージは飛行機の国際線エコノミークラスの料理に似てるみャ。
     料理の内容は豪華で“スタンダードプレミア”との決定的な違いは“温かい料理”が出るってことだみャ」
 トロ:「じゃあ、夜の時間帯の“ビジネスなんちゃら”の料理は凄いことになるんですニャ」
 クロ:「そうだみャ。
     今回節約して“スタンダードプレミア”にしたのは、乗車するのが朝の時間帯だったからみャ。
     もし乗車するのが夜の時間帯だったら、迷わず“ビジネスプレミア”を選択したんだケドみャ」
 トロ:「いや〜 豪華な食事で列車の旅を楽しむなんて憧れますニャ〜♪」
 クロ:「まぁ それはまた次の機会にお預けということで…」
 トロ:「コーヒーが冷めないうちに、パンを頂きますニャ♪」


 

 ※ ちなみにコーヒーと紅茶は飲み放題で、ジュース等のソフトドリンクのサービスもあります。
   また午前11時以降に出発する列車なら、更にワインやビールのサービスもありますよ。


 

 

 

 

 トロ:「あっ、ユーロスターをバックに記念撮影してますニャ♪」
 クロ:「そういや撮り忘れてたみャ…」
 トロ:「そんなの今からでも撮りに行けば良いですニャ」


 

 クロ:「ところが一旦あのガラスの扉の外へ出たら、ホームへは戻れないんだみャ」
 トロ:「えっ!? そうなのニャ?」
 クロ:「ユーロスターは国際列車だからセキュリティーが厳重なんだみャ」
 トロ:「う〜ん、それは残念ですニャ…」


 

 トロ:「おっ こんなところに真っ赤な“ユーロスター”が止まってますニャ〜♪」
 クロ:「いや、これは“タリス”っていう高速列車だみャ」
 トロ:「タリス?」
 クロ:「“ユーロスター”はフランス〜イギリスを結ぶ高速列車だケド、
     この“タリス”はフランス〜ベルギー〜オランダ〜ドイツの4カ国を結んでいる高速列車だみャ」
 トロ:「へぇ〜 走ってる場所によって色が違うんですニャ」
 クロ:「ちなみに言っとくと、
     “ユーロスター”も“タリス”もフランスが開発した“TGV”がベースになった高速列車なんだみャ。
     だから正確には走行する区間によって色が違うのは“TGV”になるみャ」
 トロ:「へぇ〜 そう言えばトロたちが乗り換える列車は“TGV”でしたニャ。
     ということは、また違う色の“TGV”が見られるんですニャ♪」
 クロ:「そうだみャ…って、こんなところで呑気にしゃべってる場合じゃなかったみャ!
     早く乗り換えないと!!」


 

 トロ:「ちょっとクロ! どこ行くのニャ〜!」
 クロ:「昨日ホテルで言っただろ、
     乗り換える“TGV”はこの“パリ北駅”じゃなくて“パリ東駅”から出発するんだみャ。
     だから“パリ東駅”へ行かないと乗り換えできないみャ」
 トロ:「そう言えば、そんなこと言ってましたニャ」
 クロ:「もう12時20分だから、乗り換える“TGV”が発車する12時55分まで あと35分しかないみャ!」
 トロ:「うわぁ〜 それは大変ですニャ!!」


 

 

 トロ:「いや〜 慌てて来たけど十分に間に合いそうですニャ」
 クロ:「思ったより“パリ東駅”が近かったから、ちょっと拍子抜けみャ」

 

 トロ:「トロたちが乗る列車は11番ホームみたいですニャ」


 

 

 クロ:「どうやら定時に出発できそうだみャ」

 

 トロ:「あっ、今度の列車は銀色ですニャ♪」
 クロ:「TGVには黄色と赤と銀色の3色しかないから、これで全色制覇だみャ」

 

 

 トロ:「出発して数分たっただけなのに、見渡す限り長閑な田園風景ですニャ」
 クロ:「パリを中心にした“イル・ド・フランス地域圏”の人口の大半は大都市のパリに集中してるから、
     その周辺にはこうした田園風景が広がってるんだみャ」

 


 トロ:「へぇ〜 そうなんですニャ」
 クロ:「まぁ 最近は解消しつつあるケド、むかし東京で問題になった“ドーナツ化現象”と真逆と言えるみャ」

 

 トロ:「それにしても凄いスピードで走行しますニャ〜」

 

 クロ:「今走ってる“東ヨーロッパ線”の“TGV Reseau”は、
     最高時速が320kmだから“ユーロスター”よりも20km早いんだみャ」
 トロ:「そんなに早かったんですニャ」
 クロ:「新幹線の最高速度は300kmだから、それよりも早いみャ」

 
※ この最高時速は営業運転時の速度です…

 

 トロ:「それは残念ですニャ…」
 クロ:「“ユーロスター”と違ってこの路線は新幹線と同じ国内線だから しょうがないみャ。
     食事なら聖地に着いてからゆっくり食べれば良いみャ」
 トロ:「そうですニャ」


 

 

 

 トロ:「やっと着きましたニャ」

 

 クロ:「でもまたすぐにローカル線へ乗り換えだみャ」

 

 トロ:「いかにもローカル線って感じの車輌ですニャ」
 クロ:「当たり前だみャローカル線なんだから」

 

 トロ:「ところで目的の聖地がある最寄駅まで、あと何駅あるのニャ?」
 クロ:「“ストラスブール”から“コルマール”まで、普通電車なら11駅、快速電車なら2駅先だみャ」

 

 トロ:「トロたちが乗ってるのは普通電車だから、あと11駅先ですニャ」
 クロ:「そうなるみャ」

 

 

 トロ:「ほう、ここが“コルマール駅”ですニャ。
     ホームがたくさんあって、意外と大きい駅なんですニャ」
 クロ:「この“アルザス線”は色んな目的地へ向かう列車が行き交っている上に貨物列車も走ってるから、
     運航ダイヤを調整する為にたくさんのホームを備えた駅が必要で、
    “コルマール駅”はその役割を担った駅なんだみャ」
 トロ:「へぇ〜」


 

 クロ:「それじゃあ、駅の外へ出るみャ」
 トロ:「了解ですニャ」


 

 

 

 トロ:「それにしても大きい駅だけあって、駅舎も立派ですニャ〜」
 クロ:「駅前にはバス乗り場が2カ所あって、観光地で有名な数々の村へ向かう路線バスがたくさん出てるから、
     この周辺の観光拠点になっていて駅の利用客も多いんだみャ」
 トロ:「それで中に大きな売店があったんですニャ」


 

 

 

 トロ:「急に街の雰囲気がメルヘンな感じになりましたニャ♪」
 クロ:「まさしくコレが“ごちうさの世界”だみャ♪」

 

 トロ:「この噴水もメルヘンだけど、上に立ってる人が気になりますニャ」
 クロ:「これは“ローゼルマンの噴水”って呼ばれていて、上に立ってるのは“ジーン・ローゼルマン”だみャ」
 トロ:「“ローゼルマンさん”はどうしてあんなところに立ってるのニャ?」
 クロ:「“ジーン・ローゼルマン”は13世紀のコルマール市で事務長だった人で、
     当時の“神聖ローマ帝国”によって“帝国自由都市”にされた“コルマール”で都市公民権を主張をして、
     帝国の圧制から住民を守ろうとした人なんだみャ」
 トロ:「“ていこくじゆう…とし…”?」
 クロ:「それまでの“地方領主”や“司教”が都市を統制するんじゃなくて、
     “神聖ローマ帝国”が派遣した“領邦君主”が都市を統制下に置く“都市形態”のことだみャ」
 トロ:「何だか難しい単語が多くてよく理解できないけど、
     どうしてその“帝国自由都市”になると住民の人たちは困るのニャ?」
 クロ:「帝国から派遣された“領邦君主”が都市を統制下に置くってことは、
     都市の住民の意見よりも帝国にとって都合が良い政治が行われるってことみャ。
     実際に“帝国自由都市”化された都市は自治権の多くを剥奪されて、
     その都市の住民たちは不自由な生活を余儀なくされたらしいみャ…」
 トロ:「なるほど、それは確かに嫌ですニャ…」
 クロ:「そんな中“ローゼルマン”は、
     コルマール市民の生活を守る為に“都市公民権を擁護”する活動を起こすんだみャ」
 トロ:「おぉ、帝国を相手に一人の男が立ち上がったんですニャ♪ まるで映画みたいですニャ〜」

 

 クロ:「しかし その活動が広がるにつれて命を狙われるようになって、
     何度か生き延びることができたものの“ローゼルマン”が活動をやめることはなく、
     結局は1262年、活動中に
亡くなっちゃったんだみャ…」
 トロ:「マジですか…」
 クロ:「ちなみにその後、約400年間“帝国自由都市”だったコルマールは、
     コルマールを含むアルザス地方一体を統制していた神聖ローマ帝国の領邦君主“ファルツ選帝侯カール”が
     没したことにより開戦した“アウクスブルク同盟戦争”で勝利したフランスへ1697年に併合されたんだみャ」
 トロ:「400年とか、気が遠くなるような話ですニャ」
 クロ:「でもコルマールの住民は、自分たちの為に活動した“ローゼルマン”を忘れることはなく、
     19世紀
(1888年)
     コルマール出身の彫刻家“フレデリク・アウグストゥス・バルトルディ”がこの噴水を製作したんだみャ」
 トロ:「へぇ〜 この噴水にはそんな歴史があったんですニャ」
 クロ:「さて、歴史の授業は以上ということでホテルへ行くみャ」

 

 トロ:「結構人通りが多いですニャ」
 クロ:「コルマールは世界的に有名な人気の観光地だからみャ」

 

 トロ:「おぉ〜 キレイな川ですニャ〜」
 クロ:「これはコルマールの旧市街を貫く“ロシュ川”だみャ。
     “ごちうさ”によく出てくる川はこの“ロシュ川”をモデルにしてるんだみャ♪」
 トロ:「へぇ〜」


 
 

 クロ:「“ごちうさ”は“コルマール”だけじゃなくて、他にも色々な街をモデルにしてるから、
     街の雰囲気は似てるものの、なかなか一致する場所はないんだみャ。
     でもこのあと“ごちうさ”とピッタリ一致する貴重な聖地へ行くから楽しみにしてるみャ」
 トロ:「さすがクロ、ちゃんとチェックしてるんですニャ」

 

 トロ:「あっ、橋のたもとに可愛いお土産屋さんがありますニャ〜♪」
 クロ:「旧市街の中心へ行けば お土産屋がたくさんあるから、まずはホテルへ荷物を置きにいくみャ」

 

 クロ:「ホテルはこの“テュレンヌ通り”を真っ直ぐ行った左側にある、あのオレンジ色の壁の建物みャ」
 トロ:「それより左手の細い路地が賑やかで気になりますニャ〜」
 クロ:「コラ、この石畳の上をスーツケース2個引いて歩くのは大変だろ。
     寄り道しないで早くホテルへチェックインするみャ」
 トロ:「そ…そうですニャ、“荷物持ちさん”ゴメンなさいなのニャ…」


 

 トロ:「さっき言ってたオレンジ色の壁ってこの建物ですニャ」
 クロ:「そうだみャ」

 

 クロ:「ここが今日泊まるホテル“ル・コロンビエ”だみャ」
 トロ:「星が4つ付いてますニャ」
 クロ:「コルマールの旧市街には5つ星ホテルが一つしかなくてな、
     その唯一の5つ星ホテル“ラ・メゾン・デ・テート”にはスイートルームがなかったんだみャ」
 トロ:「じゃあ わざわざスイートルームに泊まる為にこのホテルにしたのニャ?」
 クロ:「まぁ それが理由のひとつなんだケド、理由はそれだけじゃないみャ。
     まず“ラ・メゾン・デ・テート”は旧市街のど真ん中にあってロケーションは最高なんだケド、
     
ホテルまでの道は“ほぼ石畳”だから、スーツケースを引いての移動がムチャクチャ大変なんだみャ」
 トロ:「“荷物持ちさん”はスーツケース2個だから、更に大変ですニャ…」
 クロ:「それに対して“ル・コロンビエ”は旧市街の入口にあって、石畳の部分は約20mくらいで済むんだみャ」
 トロ:「言われて見ればホテルの前の歩道も平だし、それは楽チンですニャ♪」


 

 クロ:「加えて言うなら“ラ・メゾン・デ・テート”より“ル・コロンビエ”の方が、
     ホテル利用者の口コミの評価が全てにおいて高かったのも大きな理由だみャ」
 トロ:「へぇ〜 見た目は結構地味だけど、凄いホテルなんですニャ〜」
 クロ:「少しフォローすると、勿論どっちのホテルも高評価で差はほんの少しだったみャ。
     でもオレっち的には この“ル・コロンビエ”の方が希望する条件に合ったってことみャ」
 トロ:「なるほど、ただスイートルームに泊まりたかっただけじゃ なかったんですニャ」


 

 トロ:「では中へ入るのニャ♪」
 クロ:「“ボンジュール♪ ジュ ヴードレ フェール ル チェックイン”だみャ」
    (こんにちわ♪ チェックインをお願いします)


 

 

 クロ:「どれどれ、最上階には4部屋あるみたいだみャ」
 トロ:「なんか、スイートルームって割りには、どのお部屋も狭そうですニャ…」

 

 クロ:「あれ? オレっちたちが泊まる“403号室”がないみャ」
 トロ:「両サイドのお部屋の番号を見ると、真ん中の扉がトロたちお部屋じゃないですかニャ…」
 クロ:「なんか二つの部屋に挟まれて、すごく狭そうな感じがするみャ…」

 

 トロ:「コレって何て読むのニャ?」
 クロ:「“プライベート ロフト”だみャ」

 

 トロ:「とにかく開けてみるのニャ」
 クロ:「そうだみャ」

 

 

 

 トロ:「上はとっても明るいですニャ」
 クロ:「窓からの日差しみたいだみャ」

 

 トロ:「ちゃんと大きなベットがあったのニャ♪ これで階段で寝なくてすみますニャ」
 クロ:「当たり前だみャ」

 

 クロ:「なるほど、
     “プライベート ロフト”って、ロフトタイプの部屋だったんだみャ」
 トロ:「いや〜 驚きましたニャ」


 

 トロ:「それにしても広いお部屋ですニャ〜」
 クロ:「ロフトってことは最上階にある4部屋の上にあるってことだから、そりゃ広いみャ」
 トロ:「あの長いテーブルには何人座れるのかニャ?」


 

 クロ:「まぁ、8人は楽勝だみャ」
 トロ:「でも椅子が3つしかないですニャ」


 

 クロ:「おや、よく見たら“NESPRESSO”があるみャ」
 トロ:「ネスプレッソ?」
 クロ:「スイスの企業“Nestle(ネスレ)”が世界に展開してるエスプレッソメーカーのブランドだみャ」
 トロ:「“ネスレ”って何か聞いたことありますニャ」
 クロ:「日本で有名なネスレ製品は“ネスカフェ”とか“ミロ”とか“キットカット”ってところかみャ」
 トロ:「あぁ、どれも知ってますニャ」
 クロ:「そんな“ネスレ”が“手軽に美味しいエスプレッソを味わう”をコンセプトに1986年に開発したのが、
     この“ネスプレッソ”なんだみャ」


 

 トロ:「なるほど…、“エスプレッソ”と“ネスレ”を混ぜて“ネスプレッソ”なんですニャ…」
 クロ:「まぁ 安直なブランド名は置いといて…、
     とにかく それまで美味しいエスプレッソを飲むには、抽出に高い圧力をかけるボイラーが必要だったり、
     深煎りで微細に挽いたコーヒー粉を固めるダンピング作業など、抽出には色々なテクニックが必要で、
     非常にハードルが高かったんだみャ」
 トロ:「それはもう お店で飲むしかないですニャ…」
 クロ:「ところが“ネスレ”が
     コーヒー粉をアルミカプセルに充填して専用マシンで抽出する“ネスプレッソ”を開発すると、
     その“手軽さ”と“美味しさ”が評判を呼んで“ネスプレッソ”は一躍 世界中へ広がったんだみャ」
 トロ:「へぇ〜 これはそんなに凄いマシンだったんですニャ〜」


 

 クロ:「ちなみにコレは法人契約専用マシン“ZENIUS”(ジニアス)だみャ。
     コストを極力下げる為に家庭向けのアルミカプセルじゃなく、アルミポッドタイプになってるみャ
 トロ:「法人専用のマシンがあるとは凄いですニャ」
 クロ:「そりゃ 世界中で有名な15以上ものラグジュアリー ホテルチェーンと提携してたり、
     世界中の一流レストランや一流企業とも契約してるんだから、
     メンテナンスしやすくて耐久性がある専用マシンは必要だみャ」


   

 クロ:「ちなみにオレっちも“ネスプレッソ”愛好家で、
     購入してから10年が経つ初期モデル“C250”は今も自宅で現役バリバリだみャ〜♪」
 トロ:「どうも熱が入った説明をしてくるかと思ったら、クロも持ってたんですニャ」
 クロ:「この“C250”は初期モデルでありながら、使いやすくて、機能が満載で…」
 トロ:「あぁ、もう説明は結構ですニャ」
 クロ:「ちっ…」

 

 トロ:「置いてあるのはコーヒーカップじゃないですニャ、これじゃ熱くて持てませんニャ…。」
 クロ:「このグラスはフランスのガラスメーカー“アルクインターナショナル”の人気商品
     “ルーピング260 オールド”だみャ。
     耐熱ガラスの外側にシリコンゴムをらせん状に巻きつけてあるから、
     熱湯を注いでも熱くなくて、滑り止めにもなってるから非常に持ちやすいという優れものだみャ」
 トロ:「へぇ〜 そんな変わったグラスがあるんですニャ」


 

 クロ:「その下の棚の中に冷蔵庫があるみャ」
 トロ:「少しだけど飲み物やチーズが入ってますニャ」


 

 トロ:「そういえば 窓からの景色を見てませんでしたニャ」
 クロ:「早速チェックするみャ」

 

 トロ:「高いところにあるお部屋だけあって、遠くまで見渡せますニャ〜」
 クロ:「目の前のアンテナがちょっと気になるケドみャ…」

 

 トロ:「反対側にある窓もチェックするニャ」

 

 クロ:「おぉ〜 これはコルマールらしい、良い眺めだみャ〜♪」
 トロ:「トンガリ屋根があったりして、“おとぎの国”みたいな景色ですニャ〜♪」
 クロ:「特徴的な“うろこ屋根”をこんな目の前で見られるとは思わなかったみャ」

 

 トロ:「さて、
     お次はベットの横にあるガラスの扉をチェックしますニャ」
 クロ:「大体予想はつくケドみャ…」

 

 トロ:「あれ?
     ガラスの扉を開けたら、さらにガラスの扉がありますニャ」


 

 クロ:「どうやらシャワーブースみたいだみャ」
 トロ:「バスタブがなくて残念ですニャ…」


 

 クロ:「その代わりに窓がついてるみャ」

 

 トロ:「小さくて長細い窓だけど、景色を見ながらシャワーを浴びれるのは良いですニャ〜」

 

 クロ:「おっ、“サン・マルタン教会”が見えるみャ」
 トロ:「有名な教会なのニャ?」
 クロ:「あとで近くまで行くから、その時に説明してやるみャ」
 トロ:「わかったみャ」


 

 トロ:「シャワーブースの横は洗面台ですニャ」

 

 クロ:「独立型のダブルボウルだみャ」

 

 クロ:「ちなみにアメニティーはフランスの高級ナチュラルコスメブランド“NUXE”(ニュクス)だみャ」
 トロ:「これもやっぱりお高いのニャ?」
 クロ:「まぁ ホテルのアメニティー用のセットだから、これで2000円するかどうかってとこかな」
 トロ:「じゃあ二人分置いてあるから、4000円相当ですニャ」


 

 クロ:「洗面台の奥はトイレだみャ」

 

 トロ:「便器が壁にくっついてますニャ」
 クロ:「結構広いトイレだみャ」

 

 クロ:「ペーパーホルダーやブラシはオシャレなものを使ってるみャ」

 

 トロ:「おや、シャワーブースの反対側にもスペースがありますニャ」

 

 クロ:「このスペースは何だろ?」
 トロ:「物置ですかニャ?」
 クロ:「でもシャワー浴びたら湿気が凄いみャ」
 トロ:「う〜ん謎ですニャ…」


 

 トロ:「いや〜 こうして見ると やっぱり広いお部屋ですニャ」
 クロ:「さすがスイートルームだみャ」

 

 トロ:「そしてやっぱり“ipod”のドッキングステーションは完備してましたニャ」
 クロ:「もはや世界標準と言えるみャ」

 

 クロ:「それより置いてあるソファが何気に豪華だみャ」
 トロ:「シンプルなデザインのソファだけど、コレが豪華なのニャ?」
 クロ:「これはスイスの建築家“ル・コルビジェ”がデザインした世界的に有名なソファの名作“LC2”だみャ。
     張地や中綿の素材によって値段がちがうケド、一人掛タイプで50万〜90万円もする高級品だみャ」
 トロ:「えっ!? そんなにお高いのニャ!?
     それが2つあるって事は最低でも100万円もするのニャ…」
 クロ:「オレっちが豪華って言った意味が分かったろ」

 

 トロ:「じゃあ、このビーチチェアーみたいな椅子もお高かったりするのニャ?」
 クロ:「この“LC4”をビーチチェアー呼ばわりするとは逆にスゲーな…。
     これも“ル・コルビジェ”の名作チェア“LC4
(シェーズロング)”で、値段は1脚 86万円だみャ」
 トロ:「なんと!? ビーチチェアーなんて言ってゴメンナサイなのニャ…」
 クロ:「これは牛の一枚皮を使った“カウハイドレザー”のタイプで、
     当然のことながら、世界に一つしかない柄だみャ」
 トロ:「しかし世の中にはそんなにお高い椅子があったんですニャ…」


 

 クロ:「ところで さっきから気になってたんだケド、コレって何だろみャ」
 トロ:「背板がないから、本棚ではなさそうですニャ…」
 クロ:「いやいや、そんなボケじゃなくて率直な意見を聞きたいんだみャ」
 トロ:「じゃあ率直に言うけど、やっぱり階段ですかニャ」
 クロ:「やっぱりトロもそう思うみャ」
 トロ:「のぼってみたらハッキリするニャ」
 クロ:「そうだみャ」

 

 トロ:「よく見たら ちゃんと手すりが付いてますニャ」
 クロ:「確かに…」

 

 

 クロ:「ちゃんとベットまで置いてあるみャ」

 

 トロ:「でも少し小さいベットだから、これはお子様用ですニャ」

 

 クロ:「しかしこの窓からの眺めは最高だみャ〜」


 

 トロ:「シャワーブースの窓と方角が同じですニャ」
 クロ:「でもこっちの窓は大きくて、実に見晴らしが良いみャ」

 

 クロ:「ほらさっきよりも“サン・マルタン教会”がハッキリ見えるみャ」
 トロ:「ホントですニャ」


 

 クロ:「こりゃ子供たちには絶好の秘密基地だみャ」
 トロ:「天井が低いから まさにお子様向けの部屋ですニャ」


 

 クロ:「なるほど、この部分を半透明にして 下のフロアへ光を取り込んでたんだみャ」
 トロ:「とっても頑丈だから、上で飛び跳ねても大丈夫なのニャ」


 

 トロ:「こうして見ると、
     今日のホテルもメゾネットタイプで吹き抜けがあるお部屋だったんですニャ」
 クロ:「木組みの様子も良く分かる、コルマールならではのスイートルームだみャ」

 

 トロ:「じゃあ、下におりますニャ」
 クロ:「そうだみャ」

 

 

 



 
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